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2006.05.13

同じ事件で3度目の逮捕状なんてありか?

朝日新聞より「殺人自首の容疑者を2回釈放 手続きミスで 福岡県警
殺人容疑で逮捕されたのは福岡市の無職高橋秀美容疑者。4月27日未明に「人を刺した。車に乗せている」と同署に自首。乗ってきた軽自動車の助手席で、同市南区の男性が腹部から血を流して死んでいるのが見つかった。
  1. 27日午前、高橋容疑者を殺人容疑で緊急逮捕。
  2. 逮捕状を裁判所に請求し、翌28日福岡地検に送検した。>
  3. ところが、逮捕状の請求書類に記した「逮捕日時」などの日付3カ所について、本来は「平成18年」とすべきところを「17年」としていたことが地検の指摘で判明した。
  4. 県警は28日夕、高橋容疑者を勾留(こうりゅう)中の警察署内でいったん釈放。
  5. 証拠隠滅の恐れがあるとして、すぐに緊急逮捕し、再び裁判所に逮捕状を請求したが、「緊急性は認められない」と却下されたため、再び釈放することになった。
  6. 県警は3度、裁判所に逮捕状を請求。
  7. 今度は認められ、逮捕することができた。
元最高検検事の土本武司・白鴎大法科大学院教授の話
「日付を間違えただけとはいえ、誤記は警察の大きなミスだ。裁判所がそれに気づかなかったのも問題だ。検察の指摘を受けて逮捕を無効と判断した以上、警察は1回目の釈放の際も容疑者を警察署外に出して完全に身柄を自由にすべきだった。一般に身柄の拘束は著しい人権侵害であり、捜査側は起訴までの勾留期間を縮めるなどの対処をすべきだ。
なんか、法を法として扱っていないような印象ですね。

3度目の逮捕状が1番目と比べて逮捕日時だけが違っていただけであれば、逮捕状の字面に間違えあるとして何度も同じ事件に複数の逮捕状を請求し、執行できることになってしまいそうです。
1番目の逮捕手続きが無効で結果として勾留に根拠がないとなったら、それこそ「逮捕監禁罪」そのものでしょう。
これでは全体としてどうするのか?という問題になってしま。
「この場合は、自首して来たのだから何度でも逮捕状を執行できる」とでも言うのでしょうか?
じゃあ自首して来なかった場合は当然逃亡するでしょう、それも海外に逃げてしまったらどうするか?
法は神のように全能ではないことを考慮すると、単なる字面の間違えで法的に無効になることと、事実なくて法的に無効なのは同列であるべきではないか?
そして同じ事件に何度も法を執行するのは基本的に禁止されて当然で、そういう観点からこれではとても大きな汚点になってしまうが、一つの事件を立件できないことと法的なバランスを維持するのかをどっちを取るのかという問題になりそうです。

5月 13, 2006 at 11:36 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2006.05.12

ニュージーランドがオークションに

CNN.co.jp より「「ニュージーランド」をネット競売に出品、削除
ネット・オークション最大手、イーベイのオーストラリア版は12日、同国の在住者が隣国の「ニュージーランド」を今週、「出品」したことが分かり、不適切な内容として、これを削除した、と述べた。

最初の提示価格は1豪州セント(1同ドルは約86円)で、削除前は3000ドルに上昇していたという。豪州イーベイは、「ニュージーランドは売り物でない」と語った。

ニュージーランド通信によると、計22人の競売参加者があったという。
いや~(^_^)

なんとなく出品したヤツとかオークションに参加した人の気分が分からないでもない(爆)

【追記】 CNN.co.jp の記事は
「ネット競売に「出品」された「ニュージーランド」」という写真付きだ!!

5月 12, 2006 at 08:44 午後 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0) | トラックバック (0)

携帯電話の売り方が変わる?

IT + PLUS より「携帯電話価格に選択制・総務省検討、メーカー直販に道
現在は携帯電話会社がメーカーから買い取った端末を安値で販売、値引き分を実質的に毎月の通信料に上乗せして回収している。
同じ端末を長く使う人には不利なため、端末価格を高くする代わりに通信料を安くする料金体系を消費者が選べるような案を検討する。
実現すればメーカーによる端末の直接販売など、携帯電話市場が大きく変わる可能性もある。
まぁそもそも商取引つまり売り方の詳細までも役所が規制することがおかしいわけで、普及させるために端末価格を安くするというのも含めて、自由で良いのじゃないか?
実際の携帯電話の普及ぶりはすでに成熟商品の域でしょうから、今後は増加というか機種変更を促進することによってサービス利用量の増加を狙うとなると、スマートフォンといった今までは無かった(W-ZWRO3の売れ行きに注目)モノにシフトすることになるでしょう。
だからそこ、価格設定や商品構成も自由になって当然ですね。

とは言え、1円端末といったものは無くなるのかなぁ?

5月 12, 2006 at 09:50 午前 経済・経営 | | コメント (1) | トラックバック (1)

郵便事業というのは

読売新聞より「27億円不正に値引き、長岡郵便局員30人以上処分へ
郵便料金の「別納制度」を巡り、長岡郵便局が、過去最大の約27億円の損失を出したことが、11日明らかになった。

同郵便局は少なくとも2003年12月までの1年7か月の間、東京都内のダイレクトメール発送代行会社から受け取った郵便物約1億2000万通について、本来の料金約53億円のうち、約26億円しか徴収していなかった。
同郵便局は、同社に対し、郵便物の数の確認や料金の受領など、手続きの各段階で内規違反の優遇措置を適用しており、郵政公社は「局ぐるみの不正」と断定、幹部職員ら30人以上を一斉に処分する。同社との不正取引は4年以上続いており、実害は数倍に上るとみられる。

郵政公社は、同社または局員に対する損害賠償請求訴訟を起こすことを検討しているが、局員らと同社との癒着について、刑事責任の追及を求める声が上がるのは必至。
03年11月ごろ、「東京の会社が長岡郵便局から不当に安い料金で郵便物を郵送している」という告発で不正が発覚。郵政公社新潟監査室が残された資料を調べたところ、同郵便局は02年6月~03年12月、同制度の割引を換算し、約53億円分の料金がかかる約1億2000万通を発送していたにもかかわらず、約26億円しか受け取っていないことがわかった。正規なら1通約44円のところ、約21円で発送していたことになる。

同社との取引額は、同郵便局の郵便事業収入の約3割を占め、局員たちは「大口顧客を失いたくなかった」と釈明したという。
なんで27億円以上も売り上げが狂ってもチェックされなかったんでしょうかね?
記事の通りに計算すると1億2千万通を単価44円で受け付けることになっていた、ということで十分に大口割引だとは思いますが、それが半分しか徴収しないわけですね。

後払いであるとしても「何通発送した」という記録が残らなかったんでしょうかね?
たとえ個別に料金別納で持ち込まれた郵便物について記録が出来ないにしても「何通発送してしまった」と「幾らの入金があった」を常時比較していれば、27億円以上狂うなんてことになるわけが無いでしょう。

入金が無くても請求書を作るか未収金で集計するかといった機能があれば「売り上げが1%狂ったら扱いを止めてチェックする」ぐらいの機能を持たせることは簡単なはずで、
新潟監査室は、同社側に対する詐欺容疑などで捜査したが、同郵便局が受け取った郵便物の数を、内規違反のずさんな方法で確認していたことが判明。
「正確な実害が算定できず、刑事裁判の証拠として堪えられない」として、立件を断念した。
ビジネスとして記録が残っていないことの方がよほど問題ではないか。

5月 12, 2006 at 09:34 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (1)

証拠品を質入れできるとは

読売新聞より「証拠品の金の延べ棒を入質・詐取、大阪で巡査部長逮捕
勤務先の警察署から証拠品の金の延べ棒を持ち出し、会社員を名乗って質入れした後、架空の刑事名をかたって質店から「任意提出」させてだまし取ったとして、大阪府警は11日、堺南署刑事課巡査部長を詐欺などの容疑で逮捕した。
府警は今後、証拠品の持ち出しについても立件し、上司の監督責任についても調べる方針。 府警監察室長の話「職責の自覚に欠けた言語道断の行為で、誠に遺憾。事実関係を明らかにし、厳正に対処する」
いやはやピカレスク(悪党小説)などに登場するとちょうど良い話ですな。
ちょうどチャンネルNECO で「難波金融伝 ミナミの帝王」をシリーズで放送してますがね。大阪府警ですねぇ・・・。
ところで

「職責の自覚に欠けた言語道断の行為」

いやその通りなんですが、やったことが言語道断であるのは確かですが、職責の自覚なんて無いからやったわけで自覚があればやらないでしょう。
それに「持ち出せた事の方が言語道断」だと思いますよ。
監督責任の方が重いんじゃないの?

5月 12, 2006 at 09:09 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

レール泥棒

北海道新聞より「旧白糠線のレール盗難 町のイベント設備200メートル分
釧路管内白糠町上茶路の町営青少年旅行村で、遊具のトロッココース用に敷設されていた旧国鉄白糠線のレール約200メートル分が何者かに持ち去られた。
ナンダなんだ?としか言いようがないです。

レールの規格は色々あるようですが「旧国鉄白糠線のレール」というのですから、通常狭軌なんでしょうねぇ?軽便鉄道なんかではありますまい。
どんなレールか?というのは「1メートル当たりの重量」で示されます。新幹線のでは一番重いのが100キロ/メートルです。

それで「レールの規格」で Google で検索したらバリバリのサイトがあった(^^ゞ

それから考えると、30キロ/メートルではありそうなんですよね。
30キロ×200=6000キロ(6トン)!! 「何者か」じゃなくて「トラックを乗り付けた複数犯」ですよねぇ。

5月 12, 2006 at 08:57 午前 事件と裁判 | | コメント (10) | トラックバック (0)

2006.05.11

共謀罪で右往左往

読売新聞社説に「[『共謀罪』法案]「懸念の払拭へ慎重な詰めを」」とあって問題点が良く整理されていたので引用します。
  • 「国際組織犯罪防止条約」は、共謀罪の設置を義務づけている。
  • 119か国が批准・締結し、発効している。
  • 日本は条約に署名し、与党だけでなく、民主、共産各党も賛成し、国会承認されている。
  • 条約は、「4年以上の懲役・禁固に当たる罪」を対象とし、「国際的犯罪に限定しない」ことを義務づけている
国連国際犯罪防止条約を批准したから共謀罪を新設する条約上の義務が生じて、今国会で審議しているのは承知していましたが、赤字で引用した「国際的犯罪に限定しない」というのは知りませんでした。
そこで本家である 「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(国際組織犯罪防止条約)(PDF)」を読んでみることにしました。

PDFを開けてみたらトンでもない大物(ダウンロードすると350キロもある)で読むために整理するだけで力尽きました(^^ゞ
「なるほど説明書(PDF)があるワケだ」と納得してしまいました。
全41条で構成されていて、説明書によると
この条約の締結により、我が国は、重大な犯罪の合意、犯罪収益の洗浄、司法妨害等を犯罪として定め、その犯罪についての裁判権を設定するとともに、犯罪収益の没収、犯罪人引渡し等において国際協力を促進する義務を負う。
が骨子になるようです。
それにしても、読売新聞社説の「国際的犯罪に限定しない」とは具体的にどういうことなのか?が分かりません。
条約は平成12年(2000年)11月に国連で作成され、平成15年(2003年)5月に、社民党を除く賛成多数で国会で承認されています。
アメリカの同時多発テロは2001年9月11日の事件でしたから、9.11が条約の締結を促進したのは間違えないでしょうが、国際社会ではそれ以前から問題になっていた亊案で、1994年、1998年と条約化についての国際会議が開かれた結果として条約になっています。

社民党が国会での承認に反対した理由は、条約が今の国会で審議している共謀罪の新設を義務づけていることを捉えて、「共謀罪は日本の刑法体系に反する」として反対しました。
社民党の主張は日本ローカルだけで考えるともっともだと思いますが、否応なしに法律も国際化しているわけで「日本には合わない」だけで通用しない時代になったことの現れですね。

5月 11, 2006 at 11:20 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2006.05.10

三井住友・西川日本郵政社長に責任追及?

日経新聞より「奥三井住友銀頭取、西川前頭取の責任追及へ・衆院委で表明
衆院財務金融委員会は10日、融資先に金融派生商品の購入を強制したとして金融庁から一部業務の停止を命じられた三井住友銀行の奥正之頭取らを参考人招致した。
法令違反があった当時に同行頭取だった西川善文日本郵政社長らの責任問題について、奥頭取は「何らかのものを求めていくことを検討する」と述べ、責任を求める意向を表明した。
なんかヘンな印象がありますね。
以前の経営者に責任を追求するとなると、会社に与えた不利益についてですよね?
しかし、問題は国会で取り上げられた法令違反であって、法令に違反した結果は会社は損したのか、不当利得であっても得したのか?によって責任が変わるような種類の話なのでしょうか?
なんの「責任」誰に対する「責任」なのでしょうか?

5月 10, 2006 at 11:47 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

検察取調の録画について

昨日、突如として「検察取調の録画・録音を東京地検で試行」というニュースが流れて、法律関係者のブログに評価記事が出ました。
基本は裁判員制度に対応することなので、裁判員制度についての記事を書きましたが、大変な長文になってしまいました。

順繰りに南山大学の町村先生のMatimulog より「取り調べの瑕疵化?
をを、ついに英断かと思って読んだら、 「いずれの事件でも警察の捜査段階でのビデオ撮影は実施せず、送検後の検事の取り調べに限って行う」
「事件ごとの担当検事が、容疑者が強制でなく、自分の意思にもとづいて供述したかどうかが公判の争点になる可能性があると判断した場合、容疑者に告げて撮影を行い、撮影場面も検事が選択する。」
「検事が相当と認める部分の録画・録音を行う」

バカじゃないのか?
日本では、検事が都合のいいシーンだけを選んで撮影し、これこの通り任意性がありますよという証拠にするつもりのようだ。
いや、手厳しいご意見です(^^ゞ 続いて元検事の矢部先生 元検弁護士のつぶやきより東京地検で取調べの録画を試行
裁判員制度が現在の司法制度によい影響を与えた、現時点における唯一の例かもしれません。
 記事全文は、後に引用しますが、まだまだ制約が多いと言うものの、取調べの可視化に向けた大きな前進のように思います。
 意外に早く踏み切ったな、というのが正直な感想です。
 これまでの任意性立証では裁判員を説得するのが難しいという判断が背景にあるのではないでしょうか。
 そうであるとすると、これまでの任意性立証がおかしかったのではないかという疑問も湧いてきます。
正に専門家ならではの見方が示されました。
同じく元検事の落合洋司弁護士 「日々是好日」より「取り調べの録画録音、「裁判員制度」に向け試行
この問題に頑強に抵抗していた法務・検察、警察当局ですが、説得的な論拠も尽き果て、遂に、法務・検察は、こういう流れにならざるを得なかった、ということでしょう。
「警察での試行は慎重検討必要=取り調べ可視化で警察庁刑事企画課長」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060509-00000042-jij-soci
任意性立証のためには真相解明の機能が低下しても仕方がない検察庁とは違う、とでも言いたげなコメントですが、検察捜査であれ警察捜査であれ、公判準備のため行われるものであり、検察庁と警察は違うんだ、と強弁しても、説得力はないでしょうね。
こちらも「警察はどうするの?」といった観点からのご意見のようです。

今日になって、朝日新聞に「取り調べ録画 最高検「特命」6人、極秘推進」なる記事が出ました。
最高検は9日午後、担当検事の判断で取り調べの一部をビデオ録画・録音する試行を東京地検で7月から実施する、と正式発表した。
歴史的な方針転換は、最高検が約2年前からチームを作って、極秘の検討を重ねた結果だった。
「カメラの前では自白をとれない」との不満が捜査現場にくすぶる。
その中で、検察首脳陣が試行を決断した背景には、実施時期が3年後に迫った裁判員制度への危機感があった。

「青天のへきれきだ」。東京地検の幹部は、ビデオ録画・録音の導入決定に驚きの声をあげた。
その試行を担う同地検でさえ、この方針が伝わったのは、9日の公表直前のことだった。

全国の検察組織のかじ取りをする東京・霞が関の最高検で04年6月、経験豊富な検事6人からなる、裁判員制度のプロジェクトチームが結成された。
同制度に向けた刑事訴訟法改正で、国会が同年5月までに「政府は、取り調べの可視化を検討すること」と付帯決議をしたことを受け、このチームには、ビデオ撮影の可能性を探るという極秘の検討テーマが与えられた。
裁判員制度の審理対象となる殺人などの重大事件の裁判のうち、過去3年間で調書の任意性が争われた事件をテストケースにして検討を開始。
特に問題化しそうな約30件について話し合う中で、

「裁判員なら不信感をもたれて無罪」

という、検察側にとって深刻な結論に至ったものも出てきたという。
検察幹部の一人は「プロの裁判官は検察にある程度の理解があるが、市民から選ばれた裁判員はそうはいかない。検察に厳しい視線を向けている」ともらした。
わたしは、上に紹介した弁護士さんのブログなどで「法曹という業界内のお約束を知らない裁判員を説得するためには」という意見を書いていて、例えば鑑定人が信用できることをどうやって説明するのか?ということに疑問が出てきました。
わたしが機械屋として意見を述べることになったら「機械屋業界の常識として」とかになってしまうと思うのです。

このような「業界の常識・お約束」という話に業界外の人が入ってくると「素人は引っ込んでろ」といったところがあらゆる業界にあるのが日本の文化的な特徴なのではないか?とすら思うようになりました。
実際に「プロの業界は言い訳をしない」とか称して説明しない習慣があります。
実務的にも「詳しいことは専門家同士で煮詰めることにしましょう」などという会話は珍しくありません。
つまりは「プロには説明する責任がある」という概念が社会的に身に付いていない。
だからこそ、身近な医療問題で「セカンドオピニオン」などと声高に言うのでしょう。

プロの業界と素人が身近に接するのは、サービス業を除くと医療と法律、行政手続きが一番多いのではないでしょうか?建築など民間の事業だと営業担当者という中間の調整役が居ます。

こんなことを考えると「裁判員制度では文化的な面にも踏み込んで対処しないといけないね」と思うようになったのですが、そこに法律では全く別の面があることを教わりました。

上記のように例えば鑑定について「素人の裁判員は事情を知らないでよいです」では「鑑定者を信用できないから証拠採用に反対」とかになって無罪といった例も考えられるわけで、検察調書も「これが自白です」だけでは「検察の作文であって、被告は否定しているから不採用」となって今回のビデオにつながる「裁判員裁判だから無罪になった」という例が出ると最高検は考えたのでしょう。

わたしは、この点についてだけは「当然だろう」と思いますし、町村先生が指摘しているように「検察が必要と感じているところだけを録画」では下手をするとかえって信用性を低くするとか、録画の偽造を疑われても反論できないといった大変な弱点があると思うもので「録画するなら100%撮れ」と思います。
分かりやすく言えば「自白ではなくて、客観証拠だけで判断するべきだろう」というのがわたしの基本的な意見でした(過去形なのです)

しかし、法律素人のわたしには全く考えなかった点を以前に教えていただいて、今では「これは難しい」と思うようになっています。
元検弁護士のつぶやきさんの記事「自白の重要性
日本の刑事裁判においては、自白がとても重要です。
それは、単に犯人性の確認(被疑者が本当に真犯人か)だけではなく、犯人に何罪が成立するのかという問題においても重要なのです。

例えば、故意、目的などですが、問題なのは、内心の事情の内容によって、成立する罪名が変わり法定刑も大きく変わる場合があります。

典型的な場合としては、深夜、路上を歩いている女性を犯人が無言で殴りつけたところで別の通行人に捕まったという事案を考えてみますと(被害者は怪我をしていないとします)、
犯人が強姦するつもりだったら強姦未遂、
わいせつ行為をするつもりだったら強制わいせつ未遂、
金を取るつもりだったら強盗未遂になります。

しかし、このいずれかは無言で殴りつけた段階で捕まってしまいますと、外形的な行為からは判別がつきません。

「金を出せ」とか「やらせろ」などという言葉が出ていて、それを被害者が聞いていれば、被害者の供述から犯人の内心を推認することはできますが、無言であるとそういうわけにはいきません。

そうすると被疑者を取り調べて、どういうつもりだったのかという自供を得なければ、何罪が成立するか決められないのです。

つまり刑法の規定の仕方というものも、取調べと自白の重要性に影響を与えるわけです。

この説明を読んだときに「これは難しい」と感じました。
手続きとしての裁判であれば、客観証拠などでだけ判決を決めていった方が楽だとは思いますが、刑事裁判は社会的な制裁ですから社会が満足することも重要で、日本では犯罪者の意図によって刑罰が変わる方が自然であろうと思います。
そうなると自白調書はきわめて重要な証拠だとなります。
わたしは素人として刑事裁判全体を総合的に考えてはいなかったことを自覚したのですが、こんなことを自覚している法律素人というのが一般的とは言えないでしょうから、もし裁判員が議論をしたら「自白重視派」と「客観証拠派」に分かれて論争になってしまいそうです。
それこそ「12人の怒れる男」の世界になってしまう。

多少は法律や裁判に興味がある人で頭から裁判員制度を否定する人は少数だと思いますが、段々と裁判員裁判の実施が近づいてくるに従って「裁判員裁判にするだけ」では済まない種々の問題があることが分かってきたと言うべきなのでしょう。
落合洋司弁護士は「「自白の重要性」雑感」で
こういった本質的な問題を解決しないまま制度だけを作ってしまった問題点が深刻化するだけではないかと思います。

今のままでは、裁判員制度のカタストロフィが、それほど遠くない将来に確実にやってくると言わざるを得ません。
とまで述べています。
難しい問題ですが、こういった色々な問題を解消するために、最高検は取調の可視化に踏み出した。「検察取調の一部録画」もこのような問題の解決に向けての途中経過であると解釈するべきなのでしょう。

5月 10, 2006 at 09:48 午前 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (2)

2006.05.09

教育活性化は非常に難しい

産経新聞社説より「学力格差 公教育の活性化が急務だ
「できる子」が塾や家庭教師などで学力を補っているのに対し、「できない子」は下校後、あまり勉強しないからだとされる。
「経済格差が教育の機会不均等を生んでいる」として、格差社会論と結びつける声もある。
だが、学校教育が充実していれば、これほど学力格差は広がらないはずだ。
客観的な学校評価とそれに伴う適正な校長と教員の人事異動を行うためには、市町村別と学校別の調査結果もできるだけ公表すべきである。
どうも「サンケイだからなあ」という印象がある社説であるが、社会人講師として高校で授業を手伝うようになって第三者的な目で複数の高校(中学もありますが)を見ていると、どうも問題は

「学力そのものの問題ではない」

と強く感じます。

確かに学力の低下は問題で、山形大学で化学を教えている apj さん(天羽優子先生)は「高校数学の教科書を買ってきた」
高校数学とのつなぎの講義を始めて見たら「数IIIも数Cもやってない」と言い出す学生がいた。
それで、彼らが一体何を知っていて何を知らないのか調べるために、新課程(=ゆとり教育)の数学の教科書を1セット(7冊)買ってきた。
で、いろいろ見ているのだが、数III、Cというと、極限、微積分、行列が入っている。
これをまったく知らない学生がいるとすると、そのままでは物理化学の講義が成り立たない。
ということで、やってない人でも最低ラインには到達してもらわないといけないので、数IIIの教科書を見ながら講義ノートを作る羽目になっている。
微積分の計算だけなら、高校の内容でも結構使えるし、物理化学の教科書を読むのにε-δは不要だし(このあたり、数学の先生に講義してもらうと妙にこだわりがあるみたい)。

やってないのは数学だけではない。生物を全くやっていませんとか、物理を全くやっていませんという学生が何割か居る模様である。
これでは、専門の教科書を使った講義が始まったら即死するのが目に見えている。
いったい学力とは何を測っているのか?という根本問題になってしまう。
高校生といった全人格的に社会人としてうまくやっていくために知恵を身につける時期にこのような粗雑なモノサシだけで測ることで良いのか?ということになります。
実際、社会人講師として伺う高校の成績は中低位校とされるのですが、そういう学校に社会人講師を招いてくれる先生方は「学科の成績とは別に社会人としをまくやっていくために役立つ幅広い経験をさせたい」という理由のようです。

じゃあ上位校ではどうか?となると、受験のために選んだ教科だけが優秀であれば「できる子」になってしまうのですから、反射的に難しい問題に挑戦したりするようです。
つまりは成績が良ければ、全般的に良いという話には必ずしもならないという現実が見えてきます。

大学入試を始めとして入試の科目を減らした結果、どうも必要最低線を割り込んでしまったようで、例えば理解系志望だから国語はやらないというのが蔓延していて国語の先生が「そりゃ違うだろう」と危機感を持っているということになります。

学校の先生の責任を追及すればなんとかなる、という種類の話ではないでしょう。
もっと大勢の大人が子供たちの教育はどうあるべきかを考えて、手間を注ぎ込むことこそが必要だと感じます。

5月 9, 2006 at 09:31 午前 教育問題各種 | | コメント (11) | トラックバック (2)

中央青山監査法人・全面業務停止に

毎日新聞より「中央青山監査法人:全業務停止の処分へ 金融庁が検討
カネボウの粉飾決算事件にからみ、金融庁は8日、4大監査法人の一つである中央青山監査法人に対して、今年7月からすべての業務を停止する処分を出す方向で調整に入った。停止期間は1~2カ月を検討している。
停止処分を受けると、監査契約を結んでいる企業との契約をすべて解約しなければならない。
金融庁は、こうした社会的な影響も考慮して、中央青山への処分を慎重に検討してきたが、3被告が起訴事実を認めたことで、所属していた監査法人にも内部管理責任を問う必要があると判断した模様だ。
これでは中央青山監査法人は解散する事になるでしょうね。

読売新聞データベースで「中央青山監査法人 粉飾」をキーワードにして検索してみました。
  • 2000. 06. 22 ヤオハンの粉飾決算事件
  • 2003. 11. 20 山一証券の破産管財人団が現中央青山監査法人に対し、損害賠償請求訴訟
  • 2004. 06. 21 「足利銀行出資被害者の会」中央青山監査法人を被告に加える
  • 2005. 09. 11 カネボウ粉飾、東京地検特捜部中央青山監査法人の公認会計士について刑事責任を追及
華麗なる破綻企業というべきところに登場しているのですから、ちょっと関心がある人の間では「あの!中央青山監査法人」といった色眼鏡で語られていました。
監査法人は合同することで大型化してきました。その一番大きな所が業務上の破綻となるわけですが、アメリカでもエンロン事件でアーサーアンダーセンが消滅しています。同じようなことが日本でも起きたというべきです。
しかし、山一証券、足利銀行破綻などでは投資家だけでなく従業員や顧客が大変な被害を被っていてその度に監査法人が早めに警告していれば、と言われていました。こんな風に並べてみると「これは典型的な先送りが最終的には破綻したのではないか?」と強く感じます。

5月 9, 2006 at 08:56 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (2)

裁判員候補の都合を調べると言うのだが

読売新聞より「裁判員の候補者、年30万人に都合打診…最高裁検討
最高裁は、年間30万人に上る裁判員候補者全員を対象に、1年のうち裁判参加が難しい時期などを尋ねる予備調査を行うなど、国民が参加しやすくする方策の検討に入った。
例えば、農林水産業の人は繁忙期を避けるなど、呼び出す時期を候補者ごとに配慮することも視野に入れている。
最近の各種意識調査でも、仕事の忙しさなどを理由に参加を嫌がる国民の割合が6割を超えており、最高裁はこの負担軽減策を国民の参加意欲の向上につなげたい考えだ。
う~ん微妙ですね。
アンケートを採ると「一年中忙しくて、裁判員を務めることが出来ない」が圧倒的な多数になってしまうような気がします。
それに、参加しやすい人を優先的に裁判員にしてはアメリカで陪審員逃れをする金持ちが増えたという話と同じになってしまうでしょう。
地道に説明・検討を進めるのが一番ではないでしょうか?

裁判についての議論を進めることが、裁判制度全体(関わっている人たちの意識)を変える効果があって、わたしが関わっている中西 vs 松井裁判では「環境ホルモン濫訴事件:中西応援団」を作ってバーチャル法廷になっています。
このようなやり方について弘中絵里弁護士のご意見は「緊張感があります」ですから、裁判そのものにネットは影響を与えうるのです。
最高裁はもっと庶民を信用するというか、多くの情報を知らせることで「大変だけど仕方ないか」と言いつつも裁判員として参加してくれる人を増やす方向にするべきでしょう。

5月 9, 2006 at 08:26 午前 裁判員裁判 | | コメント (0) | トラックバック (1)

高速道路の隣接地の境界画定が滞っている

産経関西より「職員激減の道路公団民営化しわ寄せ 高速の隣接地で境界画定進まず
昨年10月の道路公団民営化のしわ寄せで、高速道の隣接地で土地売却ができなくなるトラブルが相次いでいる。
土地の売却や分与、分筆を行う場合、隣人の所有地に侵食するトラブルを避けるため、土地所有者と隣接地の地権者の双方で境界を再確認することが必要となる。
高速道の土地所有権が昨年10月の民営化に伴い、職員数98人の独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」(東京)へと引き継がれたことから状況が一変。
各地で要請がある都度、職員を東京から出張させなければならないため、境界画定に応じることは実質不可能になった。
同機構では実数を正確に把握できていないが、数十件の境界画定が全国で滞ったとみられるという。
なんとまぁこんな事件になっていたのですね。

しかし、この土地境界確認は、地主の義務と言って良いもので「職員を東京から出張させなければならないため、境界画定に応じることは実質不可能になった」というのは意味不明ですね。
むしろ独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」が民営化した高速道会社6社に境界画定作業を委任する代理対応にすることで自身で立ち会いを避けようとしていることが問題の本質のようです。
同機構は今年1月、問題解決を図ろうと、民営化した高速道会社6社に境界画定作業を委任する代理対応を要請。
しかし、高速道会社は登記上、土地所有権者でなく、境界画定を行う責務もない「第三者」に当たるため、法務局や登記官からは無制限に第三者に境界画定を任せた委任のあり方などを問題視され、境界証明が受理されなかった事態も発生したという。

西日本高速会社関西支社によると、管内でも数件で境界画定ができていないといい、なかでも大阪府吹田市の名神高速沿いで計画されている宅地開発は、トラブルの影響で半年以上にわたってストップしたまま。
同機構は今後も委任を続ける方針を変えていないため、同支社管理事業部は「これからも同様のトラブルが相次ぐのは必至」と指摘する。
これじゃ解決しないですね。
どう考えても立ち会えば済むことをなんとかやらないで済ませようというところに無理があるわけで、不在地主というか原野商法というかどうしようもないですね。
なんか法的責任を追求されそうな話だと思いますね。

5月 9, 2006 at 08:08 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (1)

ウイルス対策ソフトの押し売り?

IT+PLUS より「「ウイルス対策ソフト」の押し売りに注意・IPAが警告
情報処理推進機構(IPA)は2日、「セキュリティー対策ソフト」と称するソフトを押し売りしようとする行為がインターネット上で発生していることについて警告を出した。
サイトを閲覧している際に、パソコンに勝手にプログラムがダウンロードされ、そのプログラムがウイルスに感染しているという偽のメッセージを出して、対策ソフトの購入を迫るという。
ウイルス対策ソフトという名目で売りつけようとするソフトの金額は5000-6000円程度で、クレジットカードによる購入をしつこく迫る。
いやはや、なんともすごい話だと感心してしまう。
自分でも絶対に大丈夫とは言えないと自覚していますが、それなりに勉強というか情報収集をした上でそれでも「絶対とは言えない」と考えているわけで、ちょっときわどい時代になってきたな、と思いますね。
情報交換できる立場に居ればなんとなく分かるものだと思いますが、多くの方にそういうチャンスは無いわけで、そうなると危険だと煽るばかりで不安をかき立ててもインターネットを使わないという非現実的な選択しか解決策がないとなります。
どうしたものでしょうかねぇ?

5月 9, 2006 at 01:29 午前 セキュリティと法学 | | コメント (1) | トラックバック (1)

2006.05.08

トラックのナットの締め直し規制というが

毎日新聞より「車輪脱落事故多発:大型車タイヤの点検強化 国交省方針
国土交通省は省令で定める「自動車点検基準」を今夏にも改正することを決めた。新たに日常・定期点検の項目を増やす方針。
問題になっている車輪脱落事故は、車軸にタイヤが二重についている「ダブルタイヤ」方式の大型車で、走行中に車軸とハブをつなぐボルトが破損するもの。
点検に問題があるとみられ、従来は点検項目として挙げていなかったナットの締め具合を、新たに点検項目とするほか、走行50~100キロごとにナットを締め直すことを規定するという。
いくら何でもこのニュースはちょっと信じがたいです。他の新聞にはこの記事が出ていません。
走行50キロ~100キロごとにナットを締め直すというのは、高速道路のSAごとに締め直すという意味で、停めるところもありゃしない。
80キロで6時間走行すれば480キロつまりは東京大阪間で一晩で走っています。
それを、5回とか10回のナットの締め直しが本当に必要であれば、それは道路を走ってはいけないということだろう。
トラック輸送を止めてしまえというのならまだ話が分かる。
どこをどうやれば、ここまで非現実的な方針が出てくるのだろう?

5月 8, 2006 at 07:09 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (8) | トラックバック (0)

請負をどう考えるか

宮崎日日新聞より「「請負社員」受け入れ増加 電気・電子部品工場
県内の電気・電子部品などの製造工場で、労働者を直接雇用せず、業務請負会社と雇用契約を結んだ「請負社員」を受け入れる事業所が増えている。
請負社員は、人材派遣会社の「派遣社員」と異なり、工場に指揮命令権がないのが特徴。
「パート社員は辞めさせづらい面があり、すべて業務請負に切り替えた」という。
賃金は固定給ではなく働いた分だけ支給される場合が多く、勤務先となる工場の正社員に比べれば低い。
「会社に縛られたくない」「短期間で金をためたい」と割り切る20代の若者らの働き先となっている。
請負とは元々はある特定の仕事をする集団が仕事をする形だと理解しているのだが、一般の社員と同様の仕事をするようになるということは、企業からその仕事に関するノウハウなどを失うことに等しいのだが、どう考えているのだろう?
基本的には特殊技術というかある時期だけ必要な人員の臨時雇用といった意味合いがあるわけで、トータルでは人件費が安くなるのは経済合理性から当然であるが、時間単価は割高になって当然だと思う。

一方で、技術・技能の継承と言いつつ長期雇用しないのではそれ自体が矛盾だろう。
もちろん「会社に縛られたくない(特定の仕事を長期間続けない)」ではこれまたスキルが身に付くわけもない。

社会全体、個々の会社の方針、個人の考えがそれぞれ互いを無視して勝手な方向に進みたいと叫んでいるような印象を受けます。
望ましい社会とはどういうものなのだろうか?どうもここらへんまで遡って検討し直す必要がありそうです。

5月 8, 2006 at 08:27 午前 経済・経営 | | コメント (6) | トラックバック (0)