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2006.09.29

酒酔い運転事故判決

毎日新聞より「飲酒運転:追突事故運転者2人に3億円賠償命令 福岡地裁

九州自動車道で01年に起きた酒気帯び運転絡みの多重衝突事故で、重傷を負った母子らが追突した2台の車の男女に損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁(本田能久裁判官)は28日、計3億4100万円の支払いを命じた。
被告となった女性は酒気帯びの車が母子の車に追突した後に母子をはね、刑事裁判では無罪が確定していた。
判決は、女性の過失を認定し、負担割合を「男が9割、女性が1割を負担するのが相当」とした。

判決によると、事故は福岡県若宮町(現宮若市)の九州自動車道で01年3月15日夜に発生した。
福岡市東区の男(58)が酒気帯びのまま時速140キロで走行し、前を走っていた母子の乗用車に追突して逃走。
停車した乗用車から母子が降りたところに山口県下関市の女性(37)の乗用車が突っ込んで2人をはね、母が植物状態になるなどした。
男は警察に出頭し、呼気1リットルあたり0.35ミリグラムのアルコールが検出された。

女性は業務上過失傷害罪で起訴されたが、1、2審とも「街灯のない高速道でライトの消えた事故車に気付くのは不可能だった」として過失を否定し、無罪が確定。
男は道交法違反(ひき逃げなど)と業務上過失傷害の罪に問われ、懲役2年4月の実刑判決が確定した。

事故後、母子と介護をしている夫が総額6億5600万円を求めて提訴。最大の争点となった女性の過失の有無について、本田裁判官は「暗い高速道路を走る際、制限速度を守って前照灯を上向きに走行していれば、事故を回避できた可能性がある」と指摘した。
そのうえで男女2人の不法行為と母子らの損害の因果関係を認め、将来の介護費用を含めて計3億4100万円を支払うよう命じた。
9月27日付の記事で「飲酒事故加害者に3億円賠償命令 家族が独自に証拠集め」が報道されて、賠償金の高額さで「懲罰的な賠償命令か」と一瞬思いましたが、Matimulogさんが「jugement:3億円賠償は酒気帯びに対する鉄槌か?」指摘されているとおり
慰謝料については、加害行為の悪性により上下することがありうるが、それ以外の介護費用、逸失利益は酒気帯びでも素面でも変わらない。
この判決で注目すべきは、介護費用や介護のための自宅や車の改造費用などがきちんと認められている点であって、そのことは酒気帯びとは関係ない。

酒気帯び運転で人をはねると、高額賠償が課されるという形で報道されるのは、あたかも懲罰的な賠償が認められたみたいに聞こえるので、ミスリードである。
むしろ、懲罰賠償がない日本では、酒気帯び運転で人をはねても単なる不注意で人をはねても同じ賠償しか命じられないということをこの機会に考えてはどうか?
なのであって、今回の毎日新聞の記事タイトルもミスリードと言えるのではないか?

この事件は最初に追突して逃走した車が引き起こした事故は物損です。
だからこそ、被害者は車の外に出ていた、そこに第二の事故車が突っ込んで被害者は重体になりました。

刑事裁判ではこの第二の加害車両は無罪になっている。程度問題ではあるのでしょうが、不可抗力とされました。

今回の民事訴訟では、第一の加害者に9割、第二の加害者に1割と分割することが総額3億円の賠償命令となりました。

つまり、
第一の加害者から見ると自らが引き起こした物損事故の後の人身事故について9割の賠償を課され、
第二の加害者から見ると、刑事事件では不可抗力とされた事件について民事では認められなかった、
となりそうです。

特に判決理由で「暗い高速道路を走る際、制限速度を守って前照灯を上向きに走行していれば、事故を回避できた可能性がある」というのは厳しすぎるのではないか?と思いますね。

このまま確定するのでしょうか?
議論になりそうな判決のように感じます。

9月 29, 2006 at 10:25 午前 事故と社会 |

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