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2006.08.18

原子力発電所問題

読売新聞社説 [原子力立国]「実現に欠かせぬ技術力と緊張感」

今、静岡県の中部電力・浜岡原子力発電所5号機と石川県の北陸電力・志賀原子力発電所2号機でともに低圧タービンの破損があり、現在停止しています。
以前からまとめようとしていたのですが、あまりに膨大な情報で全体像が掴めないまま過ぎてしまいましたが、今日の読売新聞社説に
技術力に不安を抱かせる例もある。国内メーカーの最新型タービンの羽根の脱落と破損だ。
6月以降、中部電力浜岡原発と北陸電力志賀原発が、このトラブルで停(と)まっている。
いずれも新設炉で、設計施工ミスの疑いが浮上している。
と書いています。
浜岡5号機のタービン破損は写真が公表されています。
こんな事が起きるとはちょっと想像外です。

原子力発電所はもともと発生する熱の温度は低いはずで、さらに低圧タービンだから温度はさらに低いのではないでしょうか?それでもこんな事になった。

志賀2号機でも、浜岡5号機と全く同じ「フォーク部のひび割れ」が確認されています。
この二つのタービンは日立製作所が製作したもので、同じ構造のようです。


Hamaoka

左の図は浜岡5号機の報告書です。

右上の図がタービン羽根の列を横から見たところで、赤く書いてある羽根が脱落しました。
下側にモノクロで3つある図が、羽根の詳細と取付部です。
フォーク状に加工してあるタービン羽根の根本をタービンホイールにさし込んで、ピンで留める構造です。









Siga この図は、志賀2号機の報告書ですが、浜岡5号機と全く同じ構造です。

下の写真に赤丸で印が付いているところにヒビが発見されました。
このヒビ自体は、磁粉探傷で発見されています。







図示されているタービンの付け根のところからひびが入り、脱落したという事のようです。
これでは、設計か材質の問題となりますが、わたしは設計の問題ではないか?という気が強くしています。


戦前のジェットエンジンの開発競争時代にタービン羽根の固定方式に世界中で苦労していて、現在の方式にすることで実用的なエンジンの製作に成功したのはイギリスのホイットルです。

タービン羽根をタービンホイールにピンで留めるというのは、その頃に失敗した技術の一つなんですけどね。
時代が違うからピンで留めても問題ない、ということではあるのでしょうがちょっと応力が集中するのではないか?と考えてしまいます。

タービン羽根の取付の問題ですから、タービン羽根と取り付ける翼車(タービンホイール)の両方の問題であり、変更するとなると実質的にタービンの内部の全交換になってしまいます。
さらにその耐久力の試験とかを完了しないとユーザーである原子力発電所では使えない。
ということはどのくらいこの二つの発電所は停止するのだろうか?

日本の原子力発電所は安全性はかなり高いが稼働率が低くその理由が点検時間が多すぎる、とされていますがそれでもタービン羽根が飛ぶという聞いたことがない事故になりました。

大型タービンは日本が得意とするものの一つで、船、火力発電所、石油プラントなどで大量に使われていて原子炉本体になどに比べると「枯れた技術」だと思っていたのですが、こんな事が起きるとは予想をはるかに超えていて驚いています。

8月 18, 2006 at 10:42 午前 もの作り |

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