« ユーロトンネル倒産 | トップページ | ソニー創業の土地を売却? »

2006.08.03

プール吸い込み事故の暗黒面その3

中日新聞より「全監視員、危険認識せず
文部科学省が吸水口のふたをボルトなどで固定するよう求める通知を出していたにもかかわらず、市はプール管理を委託した業者に通知内容を伝えていなかったことが三日、分かった。

通知は一九九九年に「学校水泳プールの安全管理について」との題で文科省(当時文部省)から都道府県に出された。
翌年以降は「学校以外のプール」も対象となり、毎年五月末に都道府県に通知。文科省の通知を受け、県は市町村の教育長らに事故防止の通知をしていた。
ふじみ野市教委は六月六日に今年の通知を受け市内の十八小中学校に伝達していたが、市営プールについては委託業者に連絡していなかった。

文科省や県の通知は「吸水口のふたが固定されていない場合、早急にネジ・ボルトで固定すること」と明記していた。
これは、ふじみ野市がプールの吸水口の格子についての通達を取り違えていた、という件ですが元になった旧文部省の通達が出た理由となった「プールの吸水口の格子を固定しなければならない」は、今回の事件となった壁の側面に格子が付いている状況だと「なんでわざわざ固定しろと指示したのか?固定しなければ脱落してしまうではないか」と考え方が多いかと思います。

以前は、普通の25メートルあるいは50メートルプールの底にある吸水口(排水溝)の上に鉄製の格子を置いただけだったのです。
いわば、道路の排水溝の格子のようなものでした。
それを水中で持ち上げて外ししまうと、吸い込まれて抜け出せなくなる、事故が多発したのです。

旧文部省は「格子を置いてあるだけではダメで、持ち上げられないようにネジ・ボルトで固定せよ」と指示したのです。
趣旨は「子どもがいたずらで外すことが出来ないようにする」であって「ネジで留まっていればよい」という意味とはちょっと違うと考えるべきでしょう。

このような意味のある措置だから、文科省になった今も「毎年通知している」となっているわけですが、それをふじみ野市は学校だけに通知したというのだからおよそ中身を読んでませんね。
だから市営プールには通達すらしない、検査もしない。
そもそも、問題になったプールの格子は文科省の指示の「二重にする」に反しているし、格子をボルトで留めることの意味がそこにある鉄の格子をを持ち上げたり外したり出来ないようにする、という意味からすると側面にあるの格子にはつかまりやすいことを考慮すればより一層の強度が必要で、「ネジが取れたら脱落する」構造自体が不適格と言うべきでしょう。

ふじみ野市は、市営プールなのだからこのような点は当然チェックする義務があったのだから、結局は何重にもミスを重ねて危険なプールを公開していた、となりますね。

8月 3, 2006 at 05:44 午後 事件と裁判, 事故と社会 |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/2299/11244715

この記事へのトラックバック一覧です: プール吸い込み事故の暗黒面その3:

» 校庭キャンプ トラックバック 居酒屋ガレージ日記
「地獄の夏休み」が始まってはや2週間。 今日と明日はそのメインイベント、校庭キャンプです。 天気も良さそうだし。 さて、どうなることか。 12:00から準備が始まります。 で、先週の日曜日は「プール開放」でした。 午前中は曇り。でも昼からは晴れて、子供達が大勢プールにやってきました。 青指(青少年指導員)の中でも、若手は元気です。 チ... 続きを読む

受信: 2006/08/05 9:32:19

コメント

 私は、もう成人して四半世紀経つし、子供もいないので、そこいら辺の事情に疎いのですが、子供の頃故郷の町に、町営プールはありませんでした。だから、学校以外となると近隣市町村の市営プールへ出かけて行くしかなかったのですが、隣接する四日市市の公営プールは、50メートル、25メートル、幼児用……の3つが基本でした。
 当時は、流れるプールなんていうモノはまだ出来始め(作られ始め)で、高い金を取る商業施設のプールにあるものと相場が決まっており、公共施設のプールに設置するにはあまりにも贅沢品と言う感覚だったので、このニュースを聞いてちょっと驚きました。
 今、地方自治体が運営するプール施設で流水プールと言うのは、結構ポピュラーな設備のでしょうか?

投稿: 神北恵太 | 2006/08/03 18:33:52

JA3ATJさんのブログ
http://blog.zaq.ne.jp/ja3atj/article/597/
のコメントにも書き込んだのですが、ちょっと驚きだったのが「枠」を取り付けていたネジの大きさです。
報道によりますと、外れてしまった枠はおよそ60cm四方で重さ5kgのステンレス製。
この四隅にネジ止め用の取り付け穴があったそうです。
で、この穴径が「3.5mm」と報道されています。
3.5mmに入るネジといえば3mm。
3mmのビス、ステンレス製ならネジ回しで力を込めれば簡単にねじ切れてしまいます。
3mmのビス4本で5kgのステンレス製枠を支える(支持構造が別にあるとしても)のはちょっと無理があるのではと思うのです。
制御や計測の世界でよく使われる19インチラックのパネル止めネジが5mmか6mmでしょう。
せめてコレくらいの太さは必要じゃないかと思います。

投稿: 居酒屋ガレージ店主 | 2006/08/05 6:09:11

>3mmのビス、ステンレス製ならネジ回しで力を込めれば簡単にねじ切れてしまいます。

そうなんですよ。
しかも現物あわせでしょ。

>趣旨は「子どもがいたずらで外すことが出来ないようにする」であって「ネジで留まっていればよい」という意味とはちょっと違うと考えるべきでしょう。

なのだから、3ミリのネジで現物あわせでは不合格再工事が常識でしょう。

もちろん、文科省の指示の「二重にしろ」にも反している。

これは、運用前の点検で不合格のはずなんですよ。

設計・製作・完成検査といった運用前と、シーズン前の修理点検、シーズン中の点検。

すべて揃ってダメという、ちょっと聞いたことがないひどいもので、全く保証がなかった。
となりますね。

投稿: 酔うぞ | 2006/08/05 8:16:36

あれー、使われていたのはM3のネジですか? そう言えばTV映像で問題の受け側の金具は映るものの、ネジ穴が見えないなあと思っていましたが小さ過ぎてはっきり写らなかったんですね。いや驚きました。その部分を設計した設計者のレベルというか技量の見当がつきます。恐らく機械装置モノを扱わない建築土木関連の方がついでに仕様を決めたか、はたまた全くのツーケサオマツさんがおやりになったかのどちらかではないでしょうか?
常識的にはM6かM8の六角SUSボルトでしょう。それにきちっとやるなら面倒がらないでSUSの座金とスプリングワッシャーを敷いてメガネレンチで締め上げればそうそう緩むものではありません。設計も施工も不合格ですね。当然責任の問われることです。

投稿: テスラ | 2006/08/05 10:43:56

>設計も施工も不合格ですね。当然責任の問われることです。

そう、だからそもそも開業したのが間違え。
というレベルの話なんですよ。

>ネジ穴が見えないなあと思っていましたが小さ過ぎてはっきり写らなかったんですね。

微妙なんですがね。この点については、わたしは「ネジが」と報道されたのが引っかかりました。
6ミリとか8ミリなら「ボルトが」と報道されるでしょう。
それが「ネジ」だったから「これはビス止めか?」と感じました。

なんか最近は報道記事のニュアンスから「なんかもっと奥深いものがあるな」と感じるようになってきています。

3ミリというの本当かよ?とは思いますが、それでも針金で止めるなんてのは細い穴であることは間違えないし、さらにはそのは利金が腐食して切れてしまうほど細い(1.6ミリの被覆線だとのことです)事から考えても、あんなデカイものを取り付けたのでは技術的常識に反していますよ。

投稿: 酔うぞ | 2006/08/05 11:57:56

>>3ミリというの本当かよ?とは思いますが、それでも針金で止めるなんてのは細い穴であることは間違えないし、さらにはそのは利金が腐食して切れてしまうほど細い(1.6ミリの被覆線だとのことです)事から考えても、あんなデカイものを取り付けたのでは技術的常識に反していますよ。

 細かいところが明らかになるにつれて唖然とさせられるばかりですが、針金の径が1.6とすると相手板のM3の下穴径が2.5か2.6ぐらいでしょうから、針金は一巻きしか通せませんね。しかも格子側と相手板のネジ穴が同位置でないから両者の間を針金は斜めに走る、よって格子は初めから背板には密着せず浮いている。浮いていれば容易に水流で振動する。振動すれば針金がこすれ破断しやすくなる。これ典型的なトラブルの連鎖じゃないですか?

投稿: テスラ | 2006/08/05 13:10:57

 M3のステンレスネジ?
 そんな細い物で、あんな大きな物を固定するって、普通考えないような。(^^;
 M3ステンレスのネジなら、充分な長さがあれば、人間の手で折る事だってできるような物じゃないですか。
 そもそも、固定する相手が、機械加工製品ではなく、建造物(プールサイド)なんですよね。
 精度の感覚が全く違う世界の製品ですよ。
 建築屋さんは、日常的に長さの単位はmであり、cmの単位になると「高精度」と捉える世界ですよ。
 M3のネジとネジ穴が一致する訳がないですよね。
 M10だって合わないでしょうよ。(^^;
 だから、現物合わせで穴を明けて組み付けていて、だから、場所を間違えると元どおり組み立てられなくなる・・・当然ですね。
 もし、私の感覚でこの手の物を作るとしたら・・・。
 プール側の柵が止る部分は、板金で一体の物を作り、埋め込む。
 使用するネジは、M10ステンレスボルト位かな?
 柵側の穴は、30~50mmの馬鹿穴。
 ネジにM10用の穴があいた当て金を通し、それを介して押さえる構造。
 つまり、ネジ穴が最大20mm位ずれていても、ネジは問題なく通るような構造を考えるって事です。

 それから、ステンレスのネジってのもくせものですよね。
 ステンレスのネジは、引っ張り強度は充分にあるものの、曲げ応力が掛かると、金属疲労で折れやすい物です。
 固定対象の精度が低いと、M10~M20位のボルトでも、締めつけただけでポキポキと折れる事があるくらい。
 水中で使用すると言う特殊性から、ステンレス製のネジを使うと言う選択自体は間違いではないでしょうけど。
 固定対象の精度を考えると、 ステンレス製のネジは、定期点検項目に指定し、定期的に交換を推奨しますね。
 もし、定期点検以外でも1本でも折れた物を発見したら、即全数新品に交換。
 それ位の管理をしなけりゃ、恐くて使えないような気がします。

投稿: craftsman | 2006/08/06 20:17:35

そもそもですな、プールの子どもたちが引っ張るようなところに格子があるわけですよ。

旧文部省が「格子をボルトあるいはネジで留めろ」と指示したのは、鉄製の格子を持ち上げちゃって事故になった例が複数あって「重いから良いだろう」的な話を潰すために「固定しろ」としたわけです。

だから「ネジで留めていればよい」ではないはずで「子どもが引っ張っても取れないこと」のはずなんですよ。

そうなると、ビスで留めるというのが根本的に失格でしょう。

ほかでも指摘があったけど、やはり格子をはめる樋のような金具をコンクリートの鉄筋に溶接して、上から格子を滑り込ませて、錠前を掛けてしまう。

なんてところが妥当なんじゃないですかね。

投稿: 酔うぞ | 2006/08/06 22:22:47

コメントを書く