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2006.08.02

パロマ工業は・・・・・その8

読売新聞より「パロマ改造関与、説明ちぐはぐで経産省が経緯報告命令
31日に経済産業省へ提出した事故調査報告書では、パロマ側の不正改造への関与について触れていないにもかかわらず、提出直後の記者会見では、「(パロマグループ)社員で改造にかかわった人物はいない」と報告書にない発表をしていたことがわかった。

経産省は説明の食い違いを重視し、1日、同社に経緯を報告するよう命じた。

パロマ工業は31日の会見で、経産省への報告の骨子とする資料を公表。資料では
  • 「社員で改造にかかわった人物はいない」
  • 「パロマサービスショップで改造をしたと認めている人物は確認されていない(法廷で証言をした人を除く)」
  • 「経産省(提出報告書)と報道向け(資料)は同内容」
と回答していた。ところが、経産省が報告書を調べたところ、報道向け資料のような記述はなかった。 経産省は1日、発表内容の具体的な根拠を7日までに回答するよう命じるとともに、「(製品に)構造的欠陥はない」とするパロマ側の主張についても根拠を示すよう求めるなど、30項目の追加報告を命じた。

パロマ総務部は「なぜ、報告書にない発表をしたのか分からない」としたうえで、「サービスショップへの聞き取り調査はしているが、詳細は分からない」としている。
「パロマ工業は・・・・・その7」

問題が無いと言えば、現実の問題が無くなる

と書いたのですが、全くこの通りであって経産省から指摘されると、

パロマ総務部は「なぜ、報告書にない発表をしたのか分からない」

この総務部の発言自体がおかしい。なぜ分からないと発表すればよいと判断したのか?共通しているのは「発表段階でその反響を考慮しない」です。
7月15日に報道されて大騒ぎになりました。以下に読売新聞記事データベースからパロマ側の発言を並べてみます。日付は記事が出た日にち

7月15日
  • 「(だれかが)製品を延命させるために、安全装置が働かないよう改造した可能性がある」
  • 「いずれも当社に落ち度はなかった」としている。
  • 「4機種はいずれも一酸化炭素漏れがあれば、自動的に制御装置が働いて使えなくなる仕組み。修理業者が湯沸かし器を不正改造したため、事故が起きたと考えている」
  • 「当社にうまく情報が入って来なかった。知っていれば、もっとアクションを起こせた。メーカーとして力が足りなかった。改善の余地はあった」
7月16日
  • 「在庫不足が瞬間的に生じた可能性はあるが、パロマサービスが応急措置で配線を改造した事実は確認していない」
  • 「事故は不正改造によるもので、業界団体を通じた安全対策だけで十分と考えていた。結果的に多くの犠牲者を出してしまったことは重く受け止めているが、当時としては精いっぱいの対応をしたと思っている」
  • 「設置後に修理業者などが不正改造した」
7月17日
  • 「メーカー及び販売会社は一切関与していない」
  • 「高裁判決の内容は認識しているが、古いことなので現在、事実関係を確認している」
7月18日
  • 「自社製品が、はんだ割れを起こすケースは把握しているが、他メーカーと比べこの部分が弱いかどうかはわからない」
7月19日
  • 当時としては最善の設計だった。現在の基準では不良と言われるかも。
  • 販売店が修理したり、サービスショップが修理した例はある。
  • だれが不正改造したかは不明。
  • (改造を指示したのでは?)全くございません。
  • 故障時に部品がなく、安易に修理として改造された例がある。
  • (27件とも担当部署では把握していたのか?)いずれも書類はあった。部が引っ越して書類がバラバラになり、きちんと管理されていなかった。
  • (事故はほかにないのか?)いとは断言できない。
  • (1992年の事故時、消費者向けになぜ広報しなかった?)業界向けだけでいいと判断したと思う。
  • (品質劣化が原因ついて)「製造した責任があり、補償については社内で検討し、対応する」
  • 「不正改造が原因と考えて事故を見過ごしてきた」
  • 「我々すべての責任という姿勢で対応すべきだったと反省している」
  • 「当時は最善の設計だった」
  • 「今の基準では設計不良と言われるかもしれない」
7月20日
  • 「不正改造は品質の問題とは別という認識で、報告しなかった」
  • 「コントロールボックスの修理方法を説明した文書を出したことはあるが、不正改造にかかわる文書は出していない」
  • 「修理業者が刑事処分を受けたと聞き、特殊な事案と考えて何も手を打たなかった」
7月22日
  • パロマ工業は21日、愛知県清須市の同社清洲工場で、事故を起こした瞬間湯沸かし器と同じ機種の製品を使い、不正改造した場合に安全装置が働かなくなる様子などを公開した。再現後、鎌塚渉・品質管理部長が「簡単な改造ですべての安全装置が損なわれてしまう。このような改造は絶対にあってはならない」とコメントしたが、製品の品質劣化についての質問が出されると、予定時間(30分間)が過ぎたことを理由に、質問には答えず、会見を打ち切った。
7月25日
  • 「金額の大小はあくまで裁判所の判断で、責任の有無には関係はない」
  • 「サービスショップと資本関係はなく、別会社。(証言は)解決金支払いには関係ない」
7月28日
  • 「この修理員の担当エリアは特に念入りにチェックしたので、チェック漏れはなかったと考えているが、当時の記録が残っていないので分からない」
7月31日
  • 「修理業者への周知徹底を図った」
  • 「構造的欠陥ではない」
  • 「ガス事業者を通じた働きかけの方が有効と判断した」
  • 「改造を指導、容認した事実はない」
  • 「(系列の)パロマサービスショップで、改造したと認める人物は確認されていない」
  • 「他社製品に比べて出荷台数が圧倒的に多かった」
  • 「改造者の危険性に対する認識が希薄だった」
8月1日
  • 「社員の関与はない」
  • 「不正改造を認めている人物は現在、確認されていない」
  • 「だれが改造したかは発見できなかった」
  • (調査方法について問われると)「時間的な余裕がなく、何人かには事情聴取しているはず」
  • (消費者に不正改造の危険性を呼びかけなかった)「(消費者が)不正改造の有無を判断するのは困難」
  • (「はんだ割れ」が多発していたことについて)当時では標準的な仕様。構造的な欠陥ではない」
こうして並べてみると、発表することでかえって信用を無くしていると言えるでしょう。
俗に言う「社員が上ばかり見ている」なのかな?とも思いますが、一種の企業文化なのでしょう。
その意味では「同族企業だから」という批判は当たらないと思っています。上場企業でもワンマン経営者は少なくない。しかし近年は企業の社会的責任といった点が強調されてきて、企業内部の都合だけではダメだというのが多くの企業に浸透しています。一番すごいのは、

パロマ総務部は「なぜ、報告書にない発表をしたのか分からない」

という発表をしてしまうことでしょう。問題は、こういう事を言ってしまう(やってしまう)体質にあると思います。

パロマは対策費が200億円との見通しを発表していますが、パロマ工業の2006年1月期の決算は、売上高が260億円、経常利益は22億円とされているので、これでは完全に倒産水準ギリギリになってしまいます。株式公開で資金調達するしかないでしょう。天動説同様に「我が社が全て」とやっていては、こういう時の対応もままならない、ということです。

8月 2, 2006 at 12:56 午後 事故と社会, 経済・経営 |

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