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2006.08.24

プール吸い込み事故の暗黒面その12

昨日、メールで「プール吸い込み事故の暗黒面」シリーズ(?)全体についてコメントをいただきました。
「ARエコノート」の有田さんからでした。

そこで、さっそく拝見したのですが、「埼玉プール事故:欠陥プール」にわたしの勝手な推測とは比べものにならない詳細な記事が出ています。
写真で説明がありますから、是非とも記事をご覧いただくとして
「吐出側には安全格子があるのに、吸水側にはないよね。これは設計か施工に大きな問題がある」

出水口の安全対策まで配慮するような建築業者が、なぜ吸水口は危険なままにしていたのか。出水口の格子を見る限り、建築業者が安全対策をとらなかったというのはちょっと考えにくい。
とすると、吸水口の安全対策は別の業者が行ったのではないか。その別の業者とは誰か?

設計図書と完成図書を併せて見れば、当たっているのかどうかがすぐにわかります。
実は、私が入手した本件プールの建築図面には吸水口の位置もサイズもありませんでした。
だとすると、吸水口に関する図面は設備工事側の図面にあるはずが、現段階では私にはわかりません。

もし施工図面に吸水口の安全対策がないのなら当初から「悪魔の穴のプール」だったことになり、設計施工業者とオーナーのふじみ野市の責任はきわめて重くなります。

ふじみ野市が始めた事故調査委員会をみていると、プール本体の問題には一切触れず、受託業者やプール管理の問題に責任を押しつけようという気配が出てきましたので、敢えて私の考え・推論をここに公開する次第です。
期せずしてわたしが「暗黒面」と名付けたのが当たりそうだという事態になってきました。


すごいと思うのは、有田さんは以前から「プール」というカテゴリーで記事を書かれています。
たまたまふじみ野市で死亡事件(わたしは事故ではないと考えます)が起きて、新聞・テレビにコメントを求められた、という専門家です。

わたしが「暗黒面」と名付けたのは、全くの直感であったのですがそれでもこの種の事故はずーと続いていることは知っていて、それでもまるで改善されていないと理解していました。
そのために「おそらくは相当ヘンな背景があるのではないか?」という予測もあって「暗黒面」としたのですが、当初の予想をはるかに越えて深い闇が見えてきた、と言うべきでしょう。


パソコン通信に参加したときに「世の中にはあらゆる問題について専門家が居るものだ」でしたが、こんかい久々にこの思いを強くしました。
「プール吸い込み事故の暗黒面」に興味のある方は是非とも「ARエコノート」をご覧下さい。

8月 24, 2006 at 10:36 午前 事件と裁判, 事故と社会 |

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コメント

過分のご紹介、ありがとうございました。こちらから拙サイトへいらっしゃる方が多く、酔うぞさんサイトの影響力の大きさに恐縮しています。それにしても、「暗黒面」という表現は言い得て妙です。こちら水道水の水質がメインでプールが専門ということではなかったのですが、プール裁判で被害者側がきわめて不利な状況であったこともあり、ほんじゃいちから調査してみようか…で始めたら、いつのまにかプール事故に詳しくなっていました。今回はもう少し足掻いて根源悪を引っ張り出そうと狙っています。

投稿: 有田一彦 | 2006/08/25 21:30:50

はじめましてYamadaと申します.
過去にプールの仕事を少々やっておりました.

図面の不備について(外しているかもしれませんが)経験上思い当たったことがひとつありまして,推測の域を得ませんがご参考まで.

今回の流水プールはコンクリート(RC)構造のようですね.

私が経験した流水プールはアルミやステンレス,FRPといった工場加工,現場組み立てのものがほとんどでした.
こういう場合,図面は事実上,メーカが設計協力する形で描き,蓋や金具はもちろんしっかりしたものでM3のビスを現物合わせで着けるような絵は当然ながら描きません.
本体工事から設備工事へ受け渡すフランジまでをメーカが描きます.
基礎工事はメーカが描きますがアンカープレートだけ支給して,土木の施工,という具合です.

役所の仕事はご存知のとおり予備設計で予算を取り,数年の後,実施設計で発注に回します.
そこで稀に予算が減額になり,当初工場加工で設計されていたものをRCでやれ,ということになる場合があります.
こうなると,当初設計協力をしていたメーカのノウハウが活かされず,実施設計は土木屋さんがメーカの図面をマネながらRCの図面を描くことになり,妙なモノが出来上がるというわけです.

今回の取水口の構造を見てそんなことが頭をよぎりました.

投稿: Yamada | 2006/08/25 23:00:58

情報どうもありがとうございます。
あのプールはRCじゃなくてステンレス2.5m/mが骨格になっています。表面塗装でまるでRCのように見えますから、私も図面みて驚いています。
また、土木工事ではなく建築工事で施工し、設計したのは某一級建築士?。その建築平面図(構造図)には流水プール関係の取り合いは一切載っていません。設備図面は現在捜査当局にあるという話なのですが、そこにもないとすると(当時の施工関係者に事情聴取するしかないのですが)、当初から安全設計などという観点はなく、見よう見まねの流水プールだったのでは?…と思っています。有田

投稿: 有田一彦 | 2006/08/26 5:35:38

ステンレスでしたか.
知る限り,工場製作のステンレスプールですと通常は排水口や取水口,吐き出し口はユニットとして工場で作られてくるのが普通なので,あのような構造にはならないのですが..
ノウハウの無い方が設計されたんでしょうね.

横槍で失礼しました.

投稿: Yamada | 2006/08/26 7:39:41

Yamada と有田さんのやり取りを読むだけで「ふ~ん!?」
といった所です。

これも、それこそ前からわたしが指摘している「入札制度は成立するのか?」問題そのものかもしれませんね。

こんな、へんな思惑に振り回されたあげくの死亡では、たまったものではありません。

何が起きたのか、細かい検証が不可欠だとますます強く思うし、警察は責任の追及をする所だからやはり事故調査委員会のようなもの作るべきですね。

投稿: 酔うぞ | 2006/08/26 9:08:05

酔うぞさん、鋭い。警察(検察も)は責任追及だから(原因究明のためには)事故調査委員会が必要との意見は、その通り。ですが、今回のふじみ野市の調査委なんかは事故隠し委員会のように私には思えます。
そういえば、失敗学や危険学を提唱している畑村洋太郎さんによると、事故調査委員会は設立関係のしがらみから真相には迫れない(ご自身が委員として参加してもそうだった)とのこと。第三者機関の事故調査委員会がベターなんですが、なかなか難しそうです。 
(参考)http://www.nikkeibp.co.jp/sj/interview/08/

投稿: 有田一彦 | 2006/08/26 10:08:00

酔うぞさん,私のコメントが不適切と思われましたら削除して下さい.

コンサル,設計事務所が全ての専門的詳細を設計対応出切るわけではないので数社のメーカの見積もりを比較して積算しますが,積算の根拠となる図面はどこかのものを採用し同等以上とする,メーカは営業努力として協力を申し出るわけですね.
標準設計が確立されていないものはそういう流れになると思います.

で,昔ならいざ知らず,現在では設計協力したメーカがそのまま受注するということはまずないでしょうね.
これがベストとも思えませんが,かといってメーカ色を一切排除しようとするとコンサルや設計事務所のスキルが追いつかず,マズい設計となる場合があるという一面があると思います.

投稿: Yamada | 2006/08/26 10:11:26

Yamadaさん、わたしは「ネット上の表現の自由を考える会」なので(爆)、現実的に書いた方、読んだ方、記事中に登場した方、などに不利益を生じる危険がある場合には、遠慮無く削除や非公開措置にしています。
「環境ホルモン濫訴事件:中西応援団」 http://www.i-foe.org/ の
「ネット評論と濫訴を考える会について」 http://www.i-foe.org/about/index.html

と書いちゃってます。


有田さん

わたしが「事故調査委員会の公式化」を主張するのには、こんな背景があります。
「御巣鷹山事故から21年目の本」 http://youzo.cocolog-nifty.com/data/2006/08/post_448c.html

この本は1000円なので、大規模事故の法的解明の難しさ、といったことについての参考資料として適当だと思います。
お勧めします。


昨日、中西裁判がありまして

    今までは、ネットを利用することで、
    旧来は業界の中のお約束だけだったものが、
    業界外の人が議論に加わるようなってきた。
    このため異なった価値観の衝突が増えた。

    (裁判なので)その衝突が名誉棄損となるのか
    異なる見方や、新たな基準が生まれることになるのかは
    場合々々であろう。

なんて話をしていました。
裁判とか警察の捜査は「この問題の社会的立場からの判定は」であって、原因がどこにあって何を改善するべきかは、勝手に考えろなのです。

このために、日航123便事故ではあれだけ大規模な捜査をやっても、刑事事件でも不起訴、原因も事実上の不明。
ボーイングは改善をしたが、その理由が分からない。
つまりは何が起きたのかが分かっていない。


わたしがだいぶ前から気にしているのは「東名の裾野インター付近の死亡事故」です。
この場所は以前は事故の名所で、記憶では毎週のように死者が出ていました。
「欠陥道路だ」という声もあったのですが、常にドライバーの責任とされていたのが、道路を改修したら見事に死亡事故が激減しました。

これなど、事故原因の解明をやれば、もっと早く道路の改修に着手できた可能性があります。
昨日紹介した、更埴ジャンクションの事故も開通後10年ですよ。
開通直後から事故が連発していて、一週間に一度の事故。一ヶ月に二回落下物が下の事業所に被害を及ぼす、という現実はどう見てもおかしい。
しかし、原因の調査はやっていない。

当初は、アメリカの航空機事故の調査のように刑事免責にするだけだ良いのかな?と思っていましたが、どうも違うようで社会評価としての事故調査と発表、といったことが必要なのかもしれません。

投稿: 酔うぞ | 2006/08/26 10:41:54

酔うぞさん
>わたしは「ネット上の表現の自由を考える会」なので(爆)

よく存じ上げてます.
私もblogをはじめる以前からのハンドル(KOH)でapjさんのサイトなどおじゃますることがあり,ニアミスしてると思います.

ただ,いきなり呼び捨てされてビビリました(汗

投稿: Yamada | 2006/08/26 13:27:28

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