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2006.06.22

日米牛肉交渉

日経新聞社説より「米国産牛肉、不信の構図から脱却を
どんなに改善策をとったとしても、不注意、過失で条件違反が起きることもありうるだろう。
米政府も違反皆無の保証はしていない。
むしろ輸入再開後は違反が見つかれば輸入の全面停止でなく、違反業者だけの制裁を求めている。
違反発生時のルール明確化は望ましいかもしれないが、一概にルール化もできまい。
認証制度などリスク管理のシステム全体にかかわるようなら、日本政府は果断に輸入を停止し、米側に協議を申し入れ改善策を迫るべきである。大事なのは国民の食の安全を守るという視点である。

米国産牛肉の輸入はともすれば政治問題化しやすい。
食の安全を科学的に評価する食品安全員委は、政治に惑わされずに日米政府のリスク管理が適正なのかを常に監視し、不備の指摘を怠ってはならない。
この社説はかなり冷静で中立的意見であると言えるでしょう。
社説の前提は「リスク管理が明快である」あるいは「アメリカはリスクやその根拠を把握している」なのだろうと思うのです。

「BSEはちょっとでも禁止」と声高に主張しても、完璧というのはコスト面で不可能のでしょうから、どうしてもリスクという確率の問題に転化します。
国産牛肉にもBSEリスクを低く見る(安全だと思う)のは、全頭検査しているからですが、もし全頭検査ではなく抜き取り検査であればどうか?というと、今度は生育歴追跡は出来るわけです。これは、ICタグまで動員して一頭ずつ記録を取っているからです。

これらが総合して「リスクは低く管理されている」と皆理解しているのでしょう。
問題は「管理されていることが分かる」であるのは当然でしょう。そういう意味では全頭検査をしても、特定危険部位を検査しているわけで、本当に食べるところに危険がないのか?なんて議論になったら、議論のための議論になってしまうでしょう。

さらに「妥当なリスクとは?」という社会保険的な考え方も「リスク」「確率」といった言葉の中には含まれていますが、これを「妥当なコストで」枠をはめるのは仕方ないでしょう。

アメリカは「日本の全頭検査は科学的に意味がない」とか言っていますが、どうもこの「科学的」というのは「リスク」の部分らしいのです。つまり統計的に意味がない。ということらしい。
それを説明しているのが、中西準子先生の「環境リスク学―不安の海の羅針盤」日本評論社刊 です。
詳しいことは本を読んでいただくとして、早い話が「元になる、BSEの発生率のデータがないと議論できない」なのです。BSEというか人がBSEに最初に感染したと言われるイギリスではBSE発生率を捕捉していて、その数字を使ってリスクとコストを計算できているのだそうです。
それから見ると全頭検査はいささかコストの掛けすぎかな?といった常識的な判断になるようです。

ところがアメリカはどうもこの基礎データを公表していない。
政治的な思惑が大きいのでしょうが、以後が将棋倒しになってしまって「抜き取り検査の制度の妥当性も分からない」なんてことになっているようです。
結局のところ、これは昔の自動車生産で「不良が出来ても、検査で不合格にした方が有利」として品質低下になってしまったビッグ3がやっていたことと同じでしょう。
認証制度などリスク管理のシステム全体にかかわるようなら、日本政府は果断に輸入を停止し、米側に協議を申し入れ改善策を迫るべきである。
これは牛肉輸入問題でず~とやっていたことそのもので「リスク管理システムには疑問アリ」なままです。
だからこそ、アメリカは検査態勢そのものについて日本の要求を呑まざるを得なかった。
アメリカの現場としてはものすごいコストアップなのだろうけど「その方がまだマシだ」という政治的な判断があったということでしょう。
見かけよりもずっと問題は大きいですよ。

6月 22, 2006 at 08:10 午前 医療・生命・衛生 |

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