« フィッシングとオークション詐欺とプロバイダ | トップページ | エレベータで死亡事故その2 »

2006.06.06

エレベータで死亡事故

この一週間ほど多忙で、見事に更新できませんでした。m(_ _)m この間にいくつか大きな事件が起きていますが、わたしの興味を惹く事件は「エレベータ故障事件」です。

毎日新聞より「エレベーター事故:ブレーキに異常か 電源切で急上昇
救出された後、関係者がエレベーターの電源を切ったところ、「かご」が急上昇し、昇降路の最上部で停止していたことがわかった。
マンション関係者がエレベーターの電源を切ったのは、救急隊員が市川君の体をエレベーターから引き出した後。
正常ならブレーキの作動によって緊急停止するはずのかごが、電源を切ると同時に相当のスピードで最上部まで上がったという。
この記事の表現では
「相当のスピードで最上部まで上がった」

というのがどの程度の問題なのか分かりませんが、どうも上昇の結果は産経新聞より「制御盤などの異常か エレベーター高2圧死」となったようです。
警視庁捜査1課と三田署が5日、現場検証した結果、エレベーターは最上階まで上昇し、ワイヤがはずれていたことが分かった。
昇降をコントロールする制御盤やワイヤを駆動するモーターなどが何らかの異常を起こし、事故につながった可能性もあるとみて、ワイヤがはずれた点と事故との因果関係について今後調べることにしている。
ちょっと理解しがたいのだが、かごが落下しない方向にしかブレーキが無かったとかなのだろうか?
死亡事故も上昇して起きてます。
ワイヤーが外れたというのもどういうことか?ですが、重りがストッパーまで落ちてしまって、ワイヤーが余ってしまった、とかでしょうか?

報道では「電気系統に異常」といったトーンの記事が多いですが、エレベータの安全確保は電気制御よりもむしろメカニカルなもので、重りであるとか機械的なブレーキなどによっていました。
だから、大昔から使われていて別に電子制御時代になって出来た技術ではありません。

最近は駅に設置されているエレベータの仕組みなどを覗いてみると結構簡易化しているようで、今回の事件のようにかごの上昇=重りの落下の方向のメカニカルブレーキがあるのかが、分からない機種もあるように感じます。

それにしても、かごの上昇側にメカニカルブレーキや調速機が全く無いのだとすると、それは安全基準に違反する設計ではないのか?と感じます。
社団法人日本のエレベータ協会の「エレベータの駆動の仕組み」の図を見ると「調速機」が明示されていますね。

Up
この問題は、停止位置の制御や扉の開閉といった自動制御の部分と振動したとかかごが急上昇したという動きの部分に分けて考えるべきだと思います。
扉の開閉とか、隣のエレベータの動きを関知して運転するといったことは、電子技術の進歩によって自動化したもので、戦前は人が制御するとか上と下の2点だけしか止まる所がないといった制御を必要としない簡単なものから始まりました。
それでも、かごの落下を防ぐために調速機やメカニカルブレーキがあったわけで、位置制御や扉が閉まらないのに動く(だから死亡事故になった)といった自動制御上の問題とは別に、電源を切ったらかごが急上昇=重りの落下があったという、戦前の水準からしてもあり得ないことが起きた、というところに注目するべきでしょう。
同型同種の設計をしている機種はすべて運用中止にするべきでないかと思います。

6月 6, 2006 at 09:18 午前 もの作り, 事故と社会 |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/2299/10412132

この記事へのトラックバック一覧です: エレベータで死亡事故:

» 「シンドラーのリスト」を読み解く トラックバック 親バカ党宣言
 「シンドラーのリスト」を読み解く・・・と言っても映画の「シンドラーのリスト」ではなく、今話題の「シンドラーエレベータ」のことですよ。 まずはこの記事 シンドラー社、都に設置リスト提出拒否  「ほんとに外資系企業なの?」ってうたがいたくなるような、リスクマネジメント能力の欠如。多くの人々の命を救った”シンドラーのリスト”という言葉に見事なまでに泥を塗ってしまいました。 それからこの記事 シンドラーエレベータ 公共施設に�... 続きを読む

受信: 2006/06/11 1:30:10

コメント

 摩擦ブレーキだと、一度滑り出すと摩擦力が急速に減少してスピードが上がれば無いも同然になってしまう事もありますよね。
 例えば自動車のブレーキも、空走状態ではタイヤをロックさせるだけの能力があっても、そこに駆動力を掛けるとロックしていた車輪が回り出す訳です。
(自動車では、そのバランスを応用して、特殊な運転テクニックなんてものもあるんですが。)
 マニュアルトランスミッションの車で、クラッチを繋いだままブレーキ力でエンジンごと車を停止できるのは、エンジンがほぼアイドル状態で駆動力が微弱になっている時だけでしょう。

 エレベーターのブレーキも、落下方向ならモーターが暴走してもワイヤーがたるむだけで、実質的に自由落下状態なので止められても、上昇方向にモーターが暴走して駆動力が掛かると、それを止めるだけの能力が無いって事かな。

 いや、それが良い/悪いじゃなく、そんな気がした・・・って事ですが。

投稿: craftsman | 2006/06/06 12:49:35

なんかけっこうでっかいかごなんだそうで、無人と満員では重量差が何百キログラムとかになりそうで、空荷だと急上昇する可能性はあるとは思いますが、それをなんとかするのがメカニカル制御機構でしょう。

ブレーキだってモーター、ケーブル、ガイドレールど無関係の3段階はあるはずで、ケーブルが外れるなんてのは「どうなっているの?」そのものですよねぇ。

シンドラーエレベータとはナンジャラホイ?と調べたら、日本エレベータ工業が買収されて社名が変更したのですね。
日本エレベータ工業は1954年設立の古手です。

まだ調べないのですが、わたしの記憶ではエレベータは専業業者が先行して、その後に東芝・日立といった電機メーカが参入したのだと思っています。

まぁ最近の総合制御といったものは、エレベータ専業業者では荷が重いとは感じますが、名門がこのザマですか、という印象はぬぐえません。

投稿: 酔うぞ | 2006/06/06 18:45:49

コメントを書く