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2006.06.11

人口減社会の経済目標

読売新聞社説より「[新成長戦略]「人口減社会だから大事な『人財力』」
少子高齢化が進み、日本の人口が減少し始めた。
経済成長にはマイナスの影響を与えるが、それを跳ね返して、成長力を強化できないだろうか。

こんな問題意識から、経済産業省が「新経済成長戦略」をまとめた。
「やり方次第では、成長は可能だ」として、今後10年間に、実質で年率2・2%成長の青写真を示している。

日本の労働力人口は、今後10年で400万人減少する。
GDP(国内総生産)の規模は、約10年後に中国に、約20年後にインドに抜かれるという。

デフレ不況の「失われた10年」に対して、人口減がまだ緩やかな今後10年は、経済の活力を生む「残された10年」という見方もある。
日本が経済大国であり続けるかどうか、岐路に立っている。
なんか奥歯に物が挟まったような表現で何を言いたいのは良く分からない社説だな。
どうも簡単に「経済大国」とか言うけど、高度成長以来(以前からだと思うが)「全体として成長(拡大)する」というだけでコトを済ませてきた。
しかし、国が豊かになるとは結局は国民一人ひとりが豊かになることに他ならないわけで、国家間の比較よりも国民の比較をするべきだろう。
だからこそ「国民一人あたりのGDP」に意味が出てくる。

客観的に言って日本は世界でもかなり豊かな国であるし、実際に財団法人 国際貿易投資研究所の発表の2004年の各国(60ヶ国)のGDPを並べると、このような順序になります。
数値は60ヶ国のGDPの平均値に対する割合を示しています。平均値は韓国・インド・メキシコ・オーストラリアといった各国です。
この順序は要するに「大国ランキング」であって、人口の多い国という要素があって確かに帝国主義時代の「大国」のイメージには合致しています。1以上であれば大国といったところでしょうか?

1-15番対平均値16-30番対平均値31-45番対平均値46-60番対平均値
アメリカ17.7ロシア0.88アイルランド0.28パキスタン0.14
日本7.04スイス0.54ポルトガル0.25フィリピン0.13
ドイツ4.15ベルギー0.54香港0.25エジプト0.12
イギリス3.21スエーデン0.53イラン0.25ルーマニア0.11
フランス3.09台湾0.49タイ0.24ペルー0.1
イタリア2.53トルコ0.46アルゼンチン0.23ウクライナ0.1
中国2.49オーストリア0.44マレーシア0.18ナイジェリア0.1
スペイン1.57インドネシア0.39イスラエル0.18クエート0.08
カナダ1.5サウジアラビア0.38ベネゼーラ0.16モロッコ0.08
インド1.03ノルウェー0.38チェコ0.16スロバキア0.06
韓国1.03デンマーク0.37シンガポール0.16カザフスタン0.06
メキシコ1.02ポーランド0.36ハンガリー0.15クロアチア0.05
オーストラリア0.96南アフリカ0.32ニュージーランド0.15スロベニア0.05
オランダ0.92ギリシア0.31コロンビア0.15ルクセンブルグ0.05
ブラジル0.91フィンランド0.28チリ0.14チュニジア0.04


「国民一人ひとりのの豊かさ」の比較するために「国民一人あたりのGDP」の順序で見てみると。
60ヶ国のデータであるために、GDPの順位には出てこない国が一人あたりGDPの表には登場することに注目するべきでしょう。
すごいのはルクセンブルグの3.45倍で日本のほとんど倍です。

なによりも人口が少ない国でも国民一人ひとりは豊かであることを表しているわけで、社説のような「経済大国を維持する」ことがどんな意味があるのかを国民的な合意にするべきことを示しています。
確かに、この表では国民の豊かさの表れとは言っても石油資源などで国民の一部に偏っている場合もあり、またどう考えても人口が小さすぎるからランクが上がったという例もあるわけで、日本の人口が1億人を越えていることは規模の上でも十分に「大国」であることは確かなことなので、国際貢献といった面からも著しく内向きになって「国民一人ひとりが豊かになりさえすればよい」というわけにもいきません。

それにしても、今まではあまりに「国民一人ひとりの豊かさとは」を無視して、「会社を大きくする」「国を豊かにする」に片寄り過ぎていたのではないか?と思うのです。
だから、人口社会で目指す経済指標は今までと同じでよいのか?だと思うのですが、社説は大枠の変更については明確な表現をしていないのに、産業構造にだけ言及している。それで良いものでしょうかねぇ?

1-15番対平均値16-30番対平均値31-45番対平均値46-60番対平均値
ルクセンブルグ3.45ドイツ1.65バーレーン0.76ポーランド0.31
ノルウェー2.7オーストラリア1.58韓国0.71ラトビア0.29
スイス2.46カナダ1.54台湾0.71チリ0.29
アイルランド2.25イタリー1.44マルタ0.66モーリシャス0.26
デンマーク2.24シンガポール1.24赤道ギニア0.53ボツワナ0.24
アイスランド2.08ニュージーランド1.22チェコ0.52マレーシア0.23
アメリカ1.97スペイン1.21サウジアラビア0.52セントルシア0.23
スエーデン1.93香港1.18ハンガリー0.49南アフリカ0.22
オランダ1.86マカオ1.12セントキッツ0.4パナマ0.22
日本1.81クエート1.06タイ0.32トルコ0.21
オーストリア1.79ギリシア0.93エストニア0.42ベネゼーラ0.21
イギリス1.78キプロス0.93スロバキア0.38ロシア0.2
フィンランド1.76イスラエル0.88クロアチア0.38アルゼンチン0.2
ベルギー1.71スロベニア0.82リトアニア0.32ベリーズ0.19
フランス1.69ポルトガル0.8メキシコ0.32ウルグアイ0.19

6月 11, 2006 at 10:28 午前 人口問題 |

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