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2006.06.07

エレベータで死亡事故その2

シンドラーエレベータ事故の記事を集めてみました。

朝日新聞 「事故当時、エレベーター扉は全開状態と判明
生徒がエレベーターの床と12階の天井に挟まれた際、扉は全開状態だったことが警視庁の調べで分かった。 同庁は扉の開閉を認識する部品の異常で、エレベーターが「扉が完全に閉まった」と誤認して動き出した可能性があるとみて調べている。
朝日新聞 「シンドラー社は説明拒否、住民怒り エレベーター事故
事故機を製造したシンドラーエレベータ(東京都江東区)が住民説明会への出席を拒否し続けている。
区長からの要請にも応えず、6日夜の説明会にも姿を現さなかった。
「職員でだめなら、区長が直接電話してほしい」「どうしても説明を聞きたい」という住民からの再三の要望で、武井雅昭区長が途中退席。
同社の担当者を相手に携帯電話で出席を求めたが、答えは「現在進んでいる捜査に支障をきたす理由がある」だった。
産経新聞 「シ社製エレベータートラブル相次ぐ 国交省が全国調査へ
シンドラーエレベータ社製のエレベーターのトラブルが、東京工業大すずかけ台キャンパス(横浜市緑区)のほか、さいたま市、長崎県佐世保市でも相次いで発生していたことが6日、分かった。
さいたま新都心の合同庁舎2号館の敷地内に設置された同じメーカーのエレベーター3基では、ドアが開きっぱなしになるなどのトラブルが4件発生した
トラブルは平成12年12月、エレベーターのドアが開きっぱなしになったほか、14年11月と17年10月にドアが閉じたまま開かなくなった。同11月には、ドアが勝手に開閉を繰り返すなどのトラブルもあったという。
一方、長崎県によると、佐世保市の県営黒髪団地で4月23日、4階と5階の間に停止。
女性が閉じ込められ、約1時間後に作業員が救助した。同15日に器具の交換工事をした際のミスが原因だったという。
毎日新聞 「エレベーター事故:製造会社、説明会出席を拒否 住民怒る
「シンドラーエレベータ」(江東区)が、住民らへの説明を拒んだまま沈黙を続け、批判が高まっている。
3日の事故発生以来、住民説明会は数回開かれたが、武井雅昭・港区長からの出席要請を断り、6日までに社員は一度も姿を見せていない。
「捜査への影響」が理由というが、住民からは「企業としての姿勢を疑う」との怒りの声が出ている。
保守点検を請け負っている「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)の社員も出席。
住民の要望を受け、区長はシンドラー社にも出席を求めていたが「捜査に影響を及ぼすと判断した」として拒否された。
読売新聞 「エレベーター制御で誤信号か、全国でトラブル三十数件
事故機と同じ「シンドラーエレベータ」(江東区)製のエレベーターが、神奈川や愛知、埼玉など少なくとも1都5県の15か所で、三十数件の故障やトラブルを起こしていたことが6日、読売新聞のまとめでわかった。
事故機の制御盤に、誤った電気信号が送られたことが原因だった可能性が高まっており、警視庁捜査1課は、原因究明を急いでいる。
故障やトラブルが判明したのは、名古屋市や長崎県佐世保市、仙台市、さいたま市、練馬区、横浜市の公営住宅や国の出先機関の庁舎など。
名古屋市の市営住宅では昨年11月、30分間にわたり住民2人が閉じこめられ、
佐世保市の県営住宅では今年4月、約1時間閉じ込められた女性が、気分が悪くなったとして病院で手当てを受けた。
練馬区の区営住宅でも2004年秋、エレベーターのボタンが点灯し続けるなどトラブルを確認。
横浜市では、05年1月から今年4月にかけて、7か所の市営住宅で、エレベーターに約1時間から30分間閉じ込められるトラブルなどがあった。
また、さいたま市の新都心合同庁舎2号館でも00年12月以降、3基の扉が閉まったまま運転不能になるなどのトラブルが計4件発生した。

東京都昇降機安全協議会によると、シンドラー社は、スイスに本社のある世界第2のエレベーターメーカーのグループ企業で、日本国内での占有率は1%程度。国内メーカーより値段が安く、競争入札を実施している官公庁に納入されるケースが多いという。
西日本新聞 「高2死亡 同社製エレベーター 佐世保でも閉じ込め
県によると、トラブルは4月23日、同市黒髪町の県営黒髪団地で発生。
D棟4階と5階の間で止まり、女性が閉じ込められ、約1時間後に同社の作業員が救助した。
同15日に器具の交換をした際の工事ミスが原因だったという。

シンドラーエレベータ社のHPに沿革があります。
  • 1935年 「東和エレベーター工業所」製造部として創業発足
  • 1954年 「日本エレベーター工業株式会社」設立
  • 1966年 日本発斜行エレベーター1号機納入
  • 1973年 静岡県袋井市に工場新設
  • 1985年 シンドラーホールディングが日本エレベーター工業の株式の30%を取得
  • 1988年 船舶用エレベーター2000隻を突破
  • 1989年 日本初 ホームエレベーター完成
  • 1991年 「シンドラーエレベータ株式会社」に社名変更
  • 1994年 シンドラー製エスカレーター・動く歩道本格導入開始
  • 1995年 シンドラーホールディングが日本エレベーター工業の株式の96.7%を取得
  • 1997年 「Schindler 300J」発売品質の国際規格ISO9001認定を取得
  • 1999年 「Schindler Mobile」発売
  • 2000年 階段室型共同住宅用エレベーター「ミレニアムタワー」発売「Schindler Smart J 」発売「Schindler 300J MRL」発売
  • 2001年 「ミレニアムタワー」が2001年度グッドデザイン賞受賞
  • 2002年 階段室型共同住宅用エレベーター「ネクストタワー」発売「Schindler neu 」発売
  • 2003年 本社・東京支社を東京都江東区越中島に移転「Schindler neu 」発売
  • 2004年 創立50周年
  • 2005年 国内有数の独立系エレベーター、エスカレーターの保守会社マーキュリーアシェンソーレ株式会社(本社:鹿児島)の全株式を取得
今回の死亡事故になった浜松町のマンションは朝日新聞の記事「エレベーターに挟まれ、高2男子が死亡 東京・芝」によると
建物が完成した98年から稼働している。
18階に住む主婦(39)は「1年ほど前に、17階と18階の間で止まり1時間ほど閉じこめられた。ボタンを押した階でドアが開かないこともあり、苦情が出ていた」と話し、「子ども1人だけで乗せると心配だと思っていた」。
13階に住む自営業の男性(51)によると、エレベーターは最近まで、故障や部品交換による点検が頻繁に行われていたという。「これまでも点検で動かず、階段で上り下りすることがあった」と話した。
98年からということだとほぼ8年目なわけで、どうも故障は最近になって増えたのではないか?と感じます。
東工大のすずかけ台キャンパスのJ2棟のエレベータが面白いという記事が MIXI に2005年10月から始まっています。
この記事でも、マイナートラブルの連発だったわけですが、2005年に建物が出来た時から続いているようです。

これらの記事を見るとどうもメンテナンスレベルというか、調整の安全というか、メーカ的視点ではバカよけといったところが、下手なのじゃないか?という印象が漠然としますね。
ドアが全開で上昇を始めたから死亡事故になったということであれば「ドアの全開をなぜ感知しなかったのか?」となりますが、すずかけ台キャンパスの記事には「ドアが外れた」という記事もあり、これは構造の問題でしょう。だからセンサーが作動しない状況もあり得ただろうと思うのです。

そもそもエレベータというモノは建物の中に箱を入れるわけですから、プレハブ構造になっています。そうでなければ建物を建て始める最初に入れておかなくてはならない。
この事から想像できるのは、現場で組み立てる機械であるので下手な設計だとセンサーの取り付けなどが確実ではないことになりかねないです。ここは難しいところだと思います。
メンテナンスが必要(義務づけられている)機械ですから、メンテナンスコストにしわ寄せがあったのか?とも感じます。下手に職人技に依存しちゃいけないとこですね。

6月 7, 2006 at 10:24 午前 もの作り, 事故と社会 |

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» シンドラーエレベータ すごい自信! トラックバック 湘南のJOHN LENNONの独り言
シンドラーエレベータ すごい自信! シンドラーエレベータ社のカタログ 本当に気の毒で悲しい事故が起きてしまった。高校2年生の男の子のエレベーター事故だ。大きく報道されているが、場所は東京都港区芝1のマンション「シティハイツ竹芝」12階だ。事故死したのは市川大輔(ひろすけ)君という都立高校2年生だった。もう本当にご両親をニュース報道で見たが、痛々しくて心が痛んだ。ご両親の姿を見たら、こちらも涙を抑えることができなかった。この事件は、本当にもの凄く憤りを感じる事故だ。 亡くなった彼... 続きを読む

受信: 2006/06/07 21:42:30

» 「シンドラーエレベータ」製 270件昇降機トラブル トラックバック おやじニュース
男子高校生が挟まれて死亡した東京都港区のマンション以外に同じ「シンドラーエレベータ」製のエレベーターのトラブルが1999年から今月にかけ、軽微なものも含めると、 続きを読む

受信: 2006/06/09 7:06:26

コメント

着床しない、ドアが開いても籠なし、途中で缶詰、部品交換ミス、ドアが外れる。信じられないことだらけ。
件の建物だと、さらに、毎年入札で点検会社が変わる。へたすれば過去の事故歴なんてひきつがれないでしょっ。
エレベーターって、建物ごとに図面は起こすけど、システム化の進んだ機械だと思ってた。

たしか、エレベーターは国土交通大臣指定認定機関で、建築基準法に基づく型式適合認定や型式部材等製造者認証をうけなきゃだめなはず。

まさかこの会社、認定条件に合わない機械を作って売ってたの?。

投稿: 昭ちゃん | 2006/06/07 12:15:33

フェイルセーフの方向としては
エレベータやエスカレータもそうですし
NCや工場ラインでも異常があれば(異常感知すれば)
速やかに止まること&動かない事が基本でしょう。

ですから「閉じ込められた」と言う話には「まぁそんな事もあるかもしれない」と言う感覚ですが・・・

今回の場合は動いてはいけない状況で動いて人を殺したのですから
のですからファイルセーフそのものが破綻しています。
まともな技術屋の感覚では考えられない話ですよね(苦笑)

まぁ今回の場合は「とめる事」の作業を物理的にぶちきって
「動いちゃった」って可能性も有りますが・・・

私的には
エレベータをコントロールするソフトが粗悪
使っている各種センサーが粗悪
もしくは(いや多分)その複合
なんだろうと・・・

まぁとにかく沈黙している当該エレベータ会社がどの様な言い訳をするか
興味はあります。

投稿: YO | 2006/06/07 18:12:02

いや~わたしが注目しているのは、死亡事故になった建物は98年に出来てエレベータも同時に稼働しているのです。
それで、トラブルは「3年前から」とかなんですよね。
一言で言えば「今までの期間の2/3は正常で最近1/3が異常」となります。

一方、2005年に出来た東工大すずかけ台キャンパスでは当初から異常の連発のようです。

そこで「メンテナンスでなんか異常を引き起こしているではないか?」と思うのです。

一方、エレベータという仕組みはセンサーなどの取り付けがあまりキッチリしたものではなく、サービスマンの腕次第ではないか?と思われる取り付けなどが見られます。

まぁソフトウェア的に多重にチェックするのは当然ですが、それが出来ていなかったのでしょうねぇ。
なんと言っても「電源を切ったら急上昇して、天井に激突してワイヤーが外れた」というのが驚きです。

少なくともメカニカルな安全機構がまともで無かったとは言えるでしょう。

投稿: 酔うぞ | 2006/06/07 19:43:34

 電源を切ったら急上昇ってあたりがどうにも信じられないのですよね。
 制御電源を切ったら、動力電源も切れる・・・と言うか、制御電源が入って無いと動力電源は絶対に入らないとか。
 上下に作動するメカのメカニカルブレーキは、電源OFFで作動するようにして置くとか。
 生産設備とかロボット等なら安全設計の基本だと思うんですけどね。

投稿: craftsman | 2006/06/08 1:16:58

EVメーカーは、自社系列でないメンテ会社を嫌います。技術情報を教えないと言う話を聞いたことがあります。特許がらみとノウハウ流出を嫌うのでしょうね(特許を取らない方が、特許庁で閲覧できないので流出しないという話もありますが・・・)。でも、乗客の安全を確保する意味からすると、そんなメーカーは失格でしょう。
捜査を受けたSEC社は、独立系のメンテ会社です。メーカー系列でないために、機構・補修方法・部品が手に入らなかった可能性も十分にあります。日本独特の「系列取引オンリー」を改めて見直すきっかけになれば良いのですが。

さっき、どこかの民放TVで横浜の東工大キャンパスのトラブルを、ブログの画面と合わせて放送していました。扉が外れる、なんて始めて見た。

投稿: 昭ちゃん | 2006/06/08 18:52:41

>横浜の東工大キャンパスのトラブルを、ブログの画面と合わせて放送していました。
>扉が外れる、なんて始めて見た。

これ、MIXI に2005年から継続しているコミュニティの記事です。
つまり、事件・事故ではないけど東工大だから面白おかしく作っていたのですが、それが死亡事故になってしまって一躍注目の的になって、コミュニティを立てた人などが取材されているとのことです。

投稿: 酔うぞ | 2006/06/08 19:08:29

>フェイルセーフの方向としては
エレベータやエスカレータもそうですし
NCや工場ラインでも異常があれば(異常感知すれば)
速やかに止まること&動かない事が基本でしょう。

一般論としては,必ずしも停止すること,動かないことが安全とは限りません。動き続けること,反転動作すること,フリーになることが安全な場合もあります。

・動き続けること: ヘリコプタのロータ
・反転動作すること: パワーウィンドウの閉じる動作
・フリーになること: 自動ドアなど

特に,何かを挟み込んだり,閉じ込めたりする場合には,ロックせずに人力で解除できるように,なるべくフリーにすべきです。

投稿: TuH | 2006/06/10 2:21:35

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