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2006.05.23

裁判員制度・毎日新聞社説は?

毎日新聞社説より「裁判員制度 市民も意識改革を進めよう
一般の市民が刑事裁判の審理に参加する裁判員制度のスタートが、3年後に迫った。
市民の一人一人が、意義や仕組みについての理解を深め、改革の機運を高めることが大切だ。

法曹界は当初、司法改革に必ずしも積極的でなかったが、関係法が制定されてからは態度を一変させている。
裁判所当局は、昨年11月の刑事訴訟法改正で裁判迅速化のため裁判員制度の対象事件に適用が義務づけられた「公判前整理手続き」の定着に、取り組んでいる。

検察当局は今月になって、検察官による容疑者の取り調べ状況の録画・録音を7月から試行する計画を打ち出した。
録画・録音の対象は検察官が必要と認めた場合に限られるというが、裁判員制度をにらみ、自白の任意性、信用性をめぐる争いで裁判を長引かせまいと考えてのことだ。決断を評価したい。

おぼつかないのは市民の意識と意欲だ。
最高裁が今年1、2月に行ったアンケート調査では、審理が3日以内なら裁判員として参加できる、と過半数が答えたが、4日以上の場合は参加できないという人が激増する。
6割強は「参加したくない」とも回答している。

今、私たちに求められているのは、裁判を真に市民のものとするため改革を断行しようとの新たな決意と、必要な施策を講じる知恵と勇気だ。
法曹関係者は自らの利害得失ではなく国家百年の大計と心得、現行の法制度を冷静に点検して万全を期してほしい。
裁判員制度を着実に根付かせるには、市民への広報、啓発にも一層力を入れねばならない。

裁判所とは無縁だった市民も、刑罰や刑事政策を自身の問題として見つめ直すべきだ。
マクロには同意しますがね、裁判所・弁護・検察が裁判員制度に向かって変革しているからといって、裁判員になる一般市民がやる気になればそれで万事OKとは言い切れません。

よく考えると日本の刑法は日本の社会や日本人の考え方に良く合っているとは思いますが、あまり論理的では無いです。
その代表が「自白」で、いままで幾つか裁判員制度と自白問題について記事を書いたり矢部弁護士(モトケンさん)落合弁護士のご意見を中心に理解を進めてきた結果「裁判員制度・自白を考える」にまとめました。
  • 日本の刑法では犯意によって刑罰が変わる
  • 自白が真実かウソかは冤罪が起きていることからも非常に判断が難しい
素人である裁判員が確実に判断できるのは事実関係でしょう。事実関係についても、社会から各種の専門家が偶然にでも参加すれば裁判に影響すると思います。しかし自白の信頼性を判断できる素人なんてのは居ないでしょう。それで、裁判員裁判では自白調書を使わないで判決が出せないか?とわたしは以前は考えていたのですが、モトケンさんが「自白によって犯意が分かり、それで刑罰が変わる」という説明をされて「あ、そうだった!」です。

裁判員裁判には市民による「復讐刑」的な側面はあるでしょう。つまり「犯意」を代表として被告が犯行時にどんなことを考えていた・感じていたといったことは裁判員裁判ではけっこう大きな判断要素になるようにも感じます。

こんなことを考えると「自白調書」が重要な判断材料になるでしょうが、自白が別々の事件(被告)で同じ水準・同じ信頼度になるとはとうてい思えないわけで、だからこそ専門家として数多くの自白調書の判断をしてきた検察官・裁判官・弁護士の判断に意味があったのだと思います。
それをそのままにしておいて裁判員に判断させるというの無理でしょう。

わたしはモトケンさんの説明を読むまでは「自白調書の真実性が分からないから評価しないで事実関係だけで判断するしかない」と思っていたのですが、それでは刑法上の正しい判断にはならない、と分かりました。
こんな面倒な判断を必要することは、あまり裁判制度に関心の無い一般市民は知らないだろうと思うのですね。
つまりは「裁判員裁判が成立しない」危険があるわけで、この点を落合弁護士は心配しているのです。

というわけで、毎日新聞の社説が「市民がもっと対応しろ」という言うだけではいささか脳天気だと思ってしまうのです。
刑法を体系的に変える必要があるかもしれません。

5月 23, 2006 at 08:36 午前 裁判員裁判 |

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(参考サイト) 私はインターネットで社説を見る機会が多いのですが、上記の社説が目に飛び込んだ瞬間、またも全身が凍りつくような怒りを覚えました。>市民の一人一人が、意義や仕組みについての理解を深め、改...... 続きを読む

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