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2006.04.09

人権侵害・3割が被害者?

長崎新聞より「「人権侵害された」3割 県民意識調査
県は、人権に関する県民意識調査の結果をまとめた。
調査は人権行政の推進に役立てようと、昨年秋に実施。選挙人名簿で無作為抽出した県内在住者二千九百九十一人に郵送し、千三百二十三人から回答があった。

人権侵害の経験が「ある」と答えたのは28・8%で、二〇〇三年に内閣府が実施した全国調査結果(13・9%)の二倍超。内容は「地域や職場での無理強いや仲間外れ」も多かった。

インターネットによる人権侵害への対策は、情報発信者の監視態勢や取り締まりの強化を求める声が多かった。

今回初めて調査したインターネットによる人権侵害の問題点については、「個人情報の不正な取り扱いや信用情報の流出」がトップ。「出会い系サイト犯罪を誘発する場」「青少年に有害な情報を掲載」が続いた。

防止策では半数近くが「違法情報発信者への監視、取り締まり強化」「個人情報の管理強化」を挙げ、プロバイダーへの情報停止など法整備を求める意見も多かった。

一方、犯罪被害者に対する人権問題では、回答者の三人に二人が「マスコミの過度の取材活動やプライバシーの侵害」を問題視。プライバシーに配慮した取材活動や報道を求めている。犯罪被害者に対する国の補償制度の整備、相談態勢充実についての要望も目立った。
ちょっと驚きました。
どういう調査なのか全貌が見えないのですが「人権侵害された人が3割」では、何かどこかがおかしいです。

長崎新聞の記事には
・内容は「地域や職場での無理強いや仲間外れ」も多かった。
・インターネットでの人権侵害の問題点
・プロバイダーへの情報停止など法整備を求める意見
・マスコミの過度の取材活動やプライバシーの侵害
・犯罪被害者に対する国の補償制度の整備、相談態勢充実
と並んでいて「人権侵害された経験がある」という重大な調査なのか「世相・社会をどう考える」という調査なのか分かりません。

わたしは例えば、「仲間外れにされた」=「人権侵害」であるとは考えません。
「人権侵害とされるほどの仲間外れ」といった具合に「人権侵害に相当する重大な問題」と考えるべきで、具体的にはその問題が刑事・民事で裁判になるような時に「人権侵害問題になった」とするべきなのだろうと考えています。
現状の人権侵害問題の中心は「裁判にしたいが出来ない」といったところなのだろうと思っています。

この記事の数字をそのまま読むと「3割の人が裁判をしたい」となってしまいますが、それは直感的におかしいし、第一「人権侵害されたのが3割」なら「人権侵害したのも3割」とかなってしまって、社会の安定が保てないレベルではないでしょうか?

この調査でヘンだと感じるところは

人権侵害とは何かが誰にも了解できる定義になっていないのでは

と思うのです。
少なくとも、もし「3割の人が人権被害の救済を申し立てたり、相談を希望しても」それに国や地方自治体はもちろん社会全体としても応じることが出来ないはずです。
つまり、報道された調査は何かがおかしいし、出てきたデータは使えないと言っても過言ではないでしょう。

人権とはどのようなもので、人権侵害とはどういうことかが社会に浸透してない、混乱しているという証拠ではあるでしょう。
これを整理することは重要だと分かりますが、インターネットが出来たことで社会は旧来とはちょっと変わりました。
その点については、いまだに一部の「インターネット・オタク」のような人たちが議論を提起しているのが現状で、インターネット以前の社会のあり方の中にインターネットを当てはめるという考え方では無理だということもほとんど通用していません。
そういう時点で「取締を求める」といった意見だけが目立つというのも危険だな、と強く感じます。

4月 9, 2006 at 10:13 午前 日記・コラム・つぶやき |

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コメント

人権の定義を非常に明確に宮城哲弥氏が書いていました。氏の見解ではなく、刑法の授業で教わる内容であるそうです。それは、

人権とは対公権力の場合に用いられる言葉であり、刑事被告人の人権という概念はあるが、犯罪被害者の人権といった使い方は間違いである。公権力とは本来、貴族に対する国王のことであったが、現在では、個人に比べて圧倒的力を持つ、マスメディア、社会風習なども含めることもあるとのこと。

私は法律の素人なので本当なのかは知りませんが、非常にすっきりした説明と思います。
一方、数年前の人権擁護局のサイトの説明は疑問でした。それは、

「人権侵害」とは法令に反する行為だけでなく、広く憲法や世界人権宣言の基本原則である人権尊重の精神に反する行為である。

どこが疑問かというと、法務省なのに、法令に反しなくても人権侵害となる言い切っていることです。では法令に変わる拠り所はといえば、人権尊重の精神という曖昧なものです。こんなもので糾弾されるのでは恐ろしくて何もできません。定義の曖昧な用語を使うのは大体インチキと思います。

投稿: zorori | 2006/04/09 16:06:10

情報ありがとうございます。

そういう説明もあるんですね。

わたし自身は特に2000年代になって整備されたインターネット絡みの法律が法体系にヘンに納まりが悪いことが気になっています。

今回の長崎県の報告は「人権」なんて言葉にどう庶民が反応するかという良いサンプルだと思いますが、少なくともこれでは「人権意識の調査が難しい」という結論にしかならないと思うのですね。

プライバシーの権利としての位置なんてのは確定していないわけで、個人情報保護法を不用意に作ってしまったからヘンなことになっている。
なんてところは直視する必要がありますね。

20世紀中までの日本は「お上に任せれば全体としてOK」と言えたのだと思いますが、どうも21世紀になってからはそうも言ってられない時代になって、それは故人レベルでの混乱が政府や国会にも反映しているのだろうと思います。

幸いにインターネット環境は誰でも使えるわけですから、個人として今後の社会がどうあるべきかをキチンと主張することが必要な時代になったのだろうし、主張は出来るはずですね。

酔うぞ拝

投稿: 酔うぞ | 2006/04/09 16:57:50

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