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2006.04.13

海上保安庁・個人情報保護法で困った

読売新聞より「海保の負傷者情報収集が難航…個人情報保護が壁に
鹿児島県・佐多岬沖での高速船事故で、事故直後、鹿児島海上保安部が負傷者の情報を収集する際、搬送先の医療機関から「個人情報保護の観点から電話では言えない」と次々に断られ、捜査が難航していたことが分かった。

事故発生後の9日深夜から翌10日未明にかけ、少なくとも約80人の負傷者が、同県指宿市と鹿児島市の十数か所の病院などに運ばれた。

同海保は、負傷者が到着した二つの港で負傷者の氏名や搬送先などの概要をまとめ、各医療機関に電話で確認しようとしたが、「個人情報にかかわることは言えない」と大半は断られた。

このため、すべての搬送先に海上保安官を派遣、海上保安手帳を提示して身分を明らかにした上で、ようやく人数や氏名、負傷の程度などを確認できた。負傷者情報の取りまとめには最終的に4日を要した。
う~む。
海上保安庁が病院に電話で聞いたら大半の病院から断られた、そこで海上保安庁の職員が直接病院を訪問したらようやく情報が出てきた、ということですね。
結構微妙ですね。

そもそも、個人情報保護法は一般人の生活では遵守義務に当たらないように「5000人以上の個人情報を過去半年以内に一度でも管理した者が対象」となっています。
ところが医療福祉機関では5000人というのが外されているので「一人の情報も管理しなければならない」です。

海上保安庁が怪我人の情報を集約しようとしたら4日間掛かったから問題、ということでありますが海上保安庁からは救急車で十数ヶ所の病院に搬送されたのがほとんどじゃないでしょうかね?
ということは、消防(救急)には情報は入っているのではないだろうか?少なくとも、人数、年齢、性別、氏名、住所ぐらいまでの情報は救急でも集めていると思います。
病院じゃなけりゃ分からないのは症状でしょうね。海上保安庁はこういった病院でしか分からない情報を電話で聞こうとしたのかね?これは個人情報保護法が仕組みはとにかくとしても、なんとか保護の機能を果たしたことの証拠じゃないのか?海上保安庁にすら情報が出なかったから、報道の取材にも間違えなく出なかった。その何が問題なのだろう?

新聞記事では、
堀部政男・中央大法科大学院教授は「今回の対応は過剰反応ではないか」と指摘している。
となっているが、海上保安庁(行政機関)からの問い合わせだから病院は電話での問い合わせに無条件に答えて当然というのはヘンだろう。現実に役人が個人的に知りたい情報を役所名義で問い合わせて知ってしまったという事件は数多く起きている。一方、緊急性があるから当然だ。となると身元確認などを家族への連絡などのために必要ということかもしれないが、病院がそこまで理解しているか?となると無理じゃないのか?つまり海上保安庁の仕事を病院が理解しているのか?という問題に直面します。

海上保安庁が職員を病院に送ったから調査に4日間掛かったことが問題だとするのなら、海上保安庁は組織的に人を送って調査することでずっと短縮出来ただろう。4日間掛かったことの全責任が病院側にあるとまでは言えない、つまり4日間という数字の一人歩きのような気がする。


もちろん、そもそも個人情報保護をこのレベルでやる必要があるのか?という問題は今回の事件などとは無関係にあります。
JR西日本の尼崎事故で、見舞金などを詐取した犯人が逮捕されたなど、大規模な事故では色々な問題があって完璧には処理できないものなのだから、個人情報保護法を守ることばかりに目が向いていては何か大きなことを見落とす可能性もあると思うので、もっと緩めた運用をするというか、個人情報保護法の抜本的な改正をして「保護するべき情報」を明確化するべきだろう、とは思います。

しかし今回の事件が「個人情報保護法の過剰適用なのか、個人情報保護法の適切な運用なのか?」という問題だけに絞れば、わたしはどちらかと言うと適正な運用だったと思います。逆に言えば「こんなことになるから、さっさと改正しろ」であります。

4月 13, 2006 at 09:07 午前 個人情報保護法 |

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