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2006.03.20

読書・ウェブ進化論その2

「読書・ウェブ進化論その1」の続きです。

「ウェブ進化論」は全体として、Google などを取り上げて「あっちの会社」といった説明をして、あっちの世界がこっちの社会と競争して勝つだろう、というトーンで貫かれています。
これ自体は現実に Google を有料会員制ネットワーク検索なんて仕組みで凌駕することが不可能であることを考えても正しい指摘でしょう。

そしてこの指摘は「今までの社会を壊すぞ」という意味であり、有料会員制パソコン通信が崩壊した例から考えても一部では確実であると思います。

しかし、このようなネットワーク社会が現在のカスケード構造社会を全面的に壊して無くしてしまうことは直感的にはありそうもない。

しかし一部では既存のやり方にネットワークが確実に影響しているところがあって、大企業ではインターネット上の情報や顧客の意見に極めて大きなコストを掛けて対応しています。 わたしが印象的に覚えているのは「HDD付きDVDレコーダーがインターネットを攻めてくる」で紹介した、DVDレコーダーがネットワークの踏み台にされてしまった事件です。これはたまたまブログに書かれて盛り上がったわけですが、メーカの東芝はかなり素早く対処しました。東芝がネットワークをチェックしていたから素早く対応できたといって良いでしょう。

つまり実社会や商品・サービスといった商業・実務活動に個人がインターネットに流す情報は確実に影響しているのです。
これが、直接的に影響しているのが「相談事」で相談を仕事にしている「士業」の方々の業界には多大な影響を及ぼしています。
誰が考えても「悪徳商法に引っかかったのだが」とかだとネットワークに相談するでしょう。この相談を出発点にして裁判になるといったことも当然あるわけで、この間には内容証明がどうのこうの、といったことになっていきます。これらは元々士業(弁護士・行政書士など)の方々が専門に引き受けることであって弁護士法などで「素人はお金を取って弁護士の仕事をしちゃダメよ」と書いてあります。

しかし「法律的な相談を、専門家にしかしてはいけない」でないのは社会的常識であって、たまたま知人にちょっと法律に詳しい人がいたら相談するのが普通でしょう。この「普通のこと」をインターネットを利用することで弁護士さんが個人的に持っているネットワークを遙かに突破してしまう多くの人の回答が出てきてしまいます。
もちろんネットワーク上の特に匿名での回答と契約して回答してくる弁護士さんの回答のどちらが信用できるのだ?ということを比較すれば、普通は弁護士さんの回答ですが中には弁護士さんよりも良い回答があるかもしれません。

結局は新たに出てきたネットワーク構造と従来のカスケード構造社会を比較して、どちらかが取って代わるわけではないというのはこの説明からも明らかでしょう。
では Google とはなんだったのか?これが「ウェブ進化論」の指摘している重大なところで、わたしの理解では「タダ同然でかなり高品質な情報を流通させることが出来ます」から話が出発するのですね。
この出発点を元になんらかのビジネスを考えるというのは分かりますが、それがすべてのビジネスを変えてしまうなんてことはムリで、例えばミスを許されない多くのビジネスや、極めて小さいとか狭い専門的な分野について広く一般に情報を回してもあまり意味がないでしょう。

社会のビジネスなどを中心とする世界はカスケード構造で出来ている方がコストが安いというのは、おそらく確実でそこにネットワーク構造をどう取り入れるのか?ということが今の問題なのでしょう。
まだまだ分からないことが多すぎます。「ウェブ進化論」の指摘は鋭いとは思いますが、すべてに回答しているのではないでしょう。個人がネットワークに関わるだけ、というきわめて小さな力も大きな影響を及ぼしうるという指摘こそがこの本の重要なところかもしれません。

3月 20, 2006 at 12:00 午後 ネットワーク一般論 |

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