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2006.03.19

読書・ウェブ進化論その1

アマゾンの和書で売上ランキング6位(2005/03/19 08:40)の「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」梅田望夫著 ちくま新書 を読了しました。

著者の梅田氏は1960年生まれで1973年に慶應義塾の中学でコンピュータに触れたそうです。
80年代になるとパソコンが実用化されます。その以前の70年代にコンピュータに触れるとは、大型コンピュータでカードパンチやバッチ処理時代を実体験しています。わたし自身も同時期に大型コンピュータを使っていて、自分のコンピュータを所有することにあこがれていて、パソコンの登場に感激した人たちの一人です。梅田氏は「パソコンの登場した時代の人」として代表をビルゲイツであるとしています。

しかし、Google の創業者が1973年生まれだから「コンピュータを私有できること自身には感動しなかった」P219 には「そうかPCの所有そのものに、それほどの意味が無いのか。そらそうだろう」と納得してしまいました。
この本は基本を Google とは何かをベースにして社会を論じています。

わたしは、ネットワーク構造の社会を非常に重要視しています。ネットワーク社会とは元々人類が持っていた社会構造のはずで、近代の社会組織の基本であるカスケード構造が確立したのが近代になってからだろうと考えています。
ネットワーク構造では原理的にノードがありますが、血縁の族長のようなところがノードでもあったのでしょう。それが経済とか法律が出来るに従って、法治や支配として上位下達構造が出来ていきカスケード構造の社会が出来たのだと考えています。

国の運営といったことは上位下達である方が明快だと思いますが、経済はコストの競争で決まりますから自由放任で地方あるいは地域だけの経済が徐々に進歩して全国規模になっていったのでしょう。
これには通信の進歩が非常に重要な意味をもっていて、通信を集中させることで全体を素早くコントロールできることを証明したのが、第一次大戦のプロイセンの陸軍参謀総長モルトケで、計画的に電話網を作り参謀本部が前線を指揮して、能率を向上できることが証明されました。

このことが、全国レベルで上位下達(カスケード構造)を実行できる事を証明しました。企業や学校も軍隊組織をマネし、通信能力を向上させることで、大規模になっていったと考えています。実際に20世紀はカスケード構造で国家も会社も成り立っている社会でありました。
現代人は国家による中央集権的統治をあらゆる面で認めています。商品や技術において「国家規格」があることを当然としています。大岡越前守が大工の尺(モノサシ)を統一して江戸の橋の工事をしたという話(伝説か?)もあります。これはこの当時は日本全国ではモノサシが統一されていなかったことを伝えています。
建築では「京間」とか「団地サイズ」といったローカル規格があるわけですから、全国から大工を集めて橋を作るという工事に規格とか基準といったものに直面した時のとまどいは大変なものだったでしょう。

何を言いたいのか?というと現在の世界標準である国家の国内統治や国際規格といった概念が意外なほど短い期間しか使われていないので、カスケード構造ではない世界観を考えてみることも出来るだろう。ということです。 ところでネットワークは国家レベルのカスケード構造よりももっと身近で日本の会社では会社の指揮命令系統とは別に県人会とか同期会といったいわば横串的な組織があることが多いです。これによって会社の組織にもネットワーク構造があり「あの話は、○○部のAさんが詳しい」なんて話が出てくるのです。

個人が県人会とか同窓会といった個人レベルでの知り合いを作るのに会社の構造と同じことをやるのは、コスト的に個人ではとても出来ない、というのが個人が知り合いを組織化できない最大の理由でしょう。これを無理矢理やっているのが政治で、政治家の組織作りには大変に費用が掛かります。
それがインターネットによって技術的にコストダウンが出来たので、個人がネットワークを作ることが可能になってしまった。
このインターネットがコミュニケーション=ネットワーク構築をタダ同然までコストダウンしたことに着目したところが「ウェブ進化論」の中核です。

しかし、個人がネットワーク利用をすることがタダ同然になったとしても、なんらかの形でビジネス展開をしないと社会に定着しません。これは恐ろしく難しいことで「原価はタダですが、お金を払ってください」と言ってもほとんどの人は払わないでしょう。タダのモノから何らかの価値を生み出すというのは全く別のビジネスを作る必要があるでしょう。
梅田氏はそれを「Google がやっている」として「あっち側の会社」としています。

3月 19, 2006 at 11:27 午前 ネットワーク一般論 |

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