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2006.02.25

メールの証拠能力の扱いは?

今回の民主党・永田議員の「メールを印刷したモノのコピーを証拠として告発」したというのが「証拠になるかよ?」となっているわけです。
「証拠はあるのか?」とは誰もが問題にするところですが、実はちゃんとした手法は研究されていて、日本でも提案されています。まだ一般的に通用しているとは言い難いのですが「デジタルフォレンジック」と言います。

証拠とは刑事・民事で評価が違うのですが法律の世界では「絶対的証拠」というのはありません。その意味では「これは怪しい」というのは十分にそれだけで証拠であります。
よって「証拠Aというが、事実Bと反するのだが?」ということになると「証拠Aは確かなのか?」になってその事件は「怪しいとは言えない」=「怪しくない」となります。

特にデジタル技術ではコピーによる劣化がありませんから「証拠Aは後から書き加えたから、インクの色が違う」なんてことがありません。「後から」かどうかは「時間の記録」を見るしかないです。

この話の怖いのは「このメールには3年前の・・・」なんてことを主張しても、実は昨日作ったものかもしれない。
ということです。ただ、絶対的証拠や証拠能力よりも特に民事では「総合して判断する」ですから、裁判の実務や社会常識の範囲では使い物になるのです。

ちょっと挙げた「メールを作った時刻を証明する」という話になると、メールの内容などを印刷物で判定するなんてのはまるで無理で別の技術が必要なってきます。そうしないと「証拠を示す」ことすら出来ません。それを「デジタルフォレンジック」と呼びます。

「特定非営利活動法人デジタル・フォレンジック研究会」役員構成を見ると、22人中の5人が顔なじみというのはわたし個人としては問題があるような気がします(^^ゞ(世間がドンドン狭くなる)
デジタル・フォレンジックとは?
インジデント・レスポンス(コンピューターやネットワーク等の資源及び環境の不正使用、サービス妨害行為、データの破壊、意図しない情報の開示等、並びにそれらへ至るための行為(事象)等への対応等を言う。)や法的紛争・訴訟に対し、電磁的記録の証拠保全及び調査・分析を行うとともに、電磁的記録の改ざん・毀損等についての分析・情報収集等を行う一連の科学的調査手法・技術を言います。

デジタル証拠の確保が図られることによって、コンピュータセキュリティを積極的に維持することができます。具体的には、以下のような分野に展開されます。
1.ハイテク犯罪や情報漏えい事件などの不正行為発生後にデジタル機器等を調査し、
いつどこで誰が何をなぜ行ったか等の情報を適切に取得し、
問題を解決するインシデント・レスポンスとして。


2.定期的にフォレンジックを用いた監査を行う事により、
不正行為の発生を抑止するとともに発生後の対応を迅速に行えるようにする、
広義の意味でのインシデント・レスポンスとして。


3.デジタル・データの保全、解析、保管等の取り扱い手法に関して適切に行われているかを議論する事により、
相互の法的権利を正しく守る活動として。
大変にややこしい説明で、白浜シンポジウム・湯沢シンポジウムなどでも繰り返して説明されている内容です。
しかしこのややこしい問題が本質的には「証拠という万人が了解できる情報を確定する」ことなのですが、この種の配慮や措置をしないで出てきた「永田(紙)コピー」のようなものは信用しろという方が無理、というべきです。

こんなことを総合して考えると、永田議員のやったことは「自動車を運転しているから、自動車メーカの技術に通じている誤解した」といったレベルの話ですが、インターネットやメールというものについてあまり詳しく知らずに使っている・使えるといったことを忘れていたのか知らなかったのでしょうね。

PS 前原代表は、メールは証拠にならないが真相追求をする、記者会見しましたがその根拠は示してないですね。なんなんだ?

2月 25, 2006 at 11:58 午前 セキュリティと法学 |

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 昨日、民主党の永田寿康議員が自民党にとてつもない爆弾を投げつけた。ライブドア前社長の堀江貴文被告が武部勤自民党幹事長の次男に選挙コンサルティング料を振り込むように指示したメールを、永田議員が衆議院予算委員会で公表した。これについて、小泉首相が「ガセネタだ」と言ったり、当人である武部幹事長が真っ向から否定するなど泥仕合の様相を呈してきた。大体自分自身は、野党が自民党の総選挙時にホリエモンを応援したことを批判している件については、多少おかしいと思っている。ホリエモンが粉飾決算をしていることを承知で応援... 続きを読む

受信: 2006/02/25 19:14:24

コメント

メールをプリントアウトしてそれをスキャナで読み取ったものをもう一度プリントアウトした紙が相手では、フォレンジック技術も裸足で逃げ出しそうですね。

投稿: 町村 | 2006/02/25 18:02:36

町村先生にコメントをいただくと緊張するわぁ(^_^)

「IT」「ハイテク」といったオマジナイの効果なんでしょうね。

わたしは、この一連の騒動をあっちこっちの blog などに「最近の若手政治家は・・・・」という書き込みをしていますが、ちょっと書いただけで納得れれてしまうのです。
ということは「ひょっとすると(酔うぞが言うように)若手政治家はヘンなのかもしれない」と思っていた方が多かったのでしょう。

じゃあなんで「若くして政治家になるという相当変わったヤツ」が見抜かれずに国会議員まで行ってしまったのか?
言うまでもなく「社会の目の網がズタズタになってしまったから」ですよ。

この一つの表れが、犯罪検挙率の急激な低下などですね。

町村先生は本物の先生だから学生と長年接してきてお分かりなのかもしれませんが、わたしは社会人講師として主に中低位校の高校生を接してみて「こりゃ大変だ」です。

高校生に「もっと大人になれ。勉強しろ」というのは簡単なんだけど、現実に彼らの生活に近づいてみると「社会を勉強するきっかけ」なんてありゃしない。
事実上の全入制のために学校内に異質の生徒を見ることすら極めてマレである。
これでは「あいつのやっていることマネしてみよう」というきっかけすら無いですよ。

そういうの「トンネル視野」のままで、大人に・政治家になるという者も出てくるのでしょう。
なんと言っても、社会に目を向けないで「誰か知らない人がやってくれる」という態度だった我々が反撃されている、と考えるべきなのでしょう。

投稿: 酔うぞ | 2006/02/25 18:26:27

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