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2006.01.07

人口問題・新聞の意見

「人口問題・合計特殊出生率をどう計算する」でちょっと紹介していますが、わたしは30年ぐらいシミュレーションで将来を予測することに興味を持ち続けています。
STELLA なんてソフトウェアを持っているのもこのためですが、表計算ソフトを使ってもある程度のシミュレーションは出来ます。

そうして幾つかの検証をしてみると、シミュレーションでは前提や固定しておくデータによって結果は変わるのですがそれでも「そりゃこんな風になるのは当然だ」と見えてくることがあります。

その代表が少子高齢化の問題だと感じます。 新聞の論調などでは「少子高齢化がズーと続くから問題」と読める記事ばかりですが、今の高齢化問題の原因である団塊の世代は今後20年から25年ぐらいで寿命を迎えるのですから、高齢化問題はある意味では我慢の問題です。

少子化問題というのはわたしには何が問題なのか良く分かりません。
現在のところ先進国で人口が自然増になっている国は無いのではないか?と思います。アメリカは人口増加ですが移民とその子供による増加であって、移民が無いと人口増加にはならないでしょう。
良く「合計特殊出生率が1.3を切るようだと・・・・」という言い方をしますが、じゃあどの程度なら良いのか?どの程度の人口減なら許されるのか?という話は聞いたことが無いです。

年末年始の新聞記事は「いよいよ人口減」ばかりでした。人口増でなければ人口減ですから、人口増加は話題にならず人口減だと記事になるということでしょうね。
しかし、合計特殊出生率が2を下回った時から将来の人口減は分かっているので実は1975年から合計特殊出生率は2を下回ったままなのですから、30年前には予想されていました。
そのために「いよいよ人口減」は正しいのかもしれませんが、ニューオーリンズを襲ったハリケーン被害のように「前から分かっているのに対策しなかったのは」という以上の意味は無いでしょう。

ハリケーン被害は一年単位の問題ですが、人口問題は100年単位とかになるのは明らかです。ハリケーン問題でも「堤防の工事予定が・・」といった原因と対策が記事になるのに、少子化問題では「問題が何で、どうあるべきか」という議論すらほとんど出てきません。
それなのに「問題だ!」と新聞は続けています。日経新聞社説は
人口減に克つ(1)成長力を高め魅力ある日本を創ろう(1/1)
人口減に克つ(2)「女性が辞めない会社」が飛躍する(1/3)
人口減に克つ(3)IT活用で生産性の引き上げを(1/4)
人口減に克つ(4)アジアと共存共栄の道を築こう(1/5)
人口減に克つ(5)ナショナルミニマムの再定義を(1/7)
と連日社説で特集しています。
まるで政策の全ての舵を方向転換するべきだ、といった印象ですがある意味では25年も我慢すれば先の展開は否応なしに決まってしまうのです。
正しい事かどうかは分からないですが、単に我慢するとか経済を減速する、といった手段でも継続出来るのであれば舵を切るほどのことでもない、とも言えます。

人口減が問題であるのならばとりあえずは静止人口を目標にするべきでしょう。
静止人口の日本は「人口問題・静止人口の形」で試算した通りで
(女性は現在の出産率に比較して)20~24歳台で1.5倍、25~29歳台が1.5倍、30~34歳台が2倍の出産をすることになります。
そのような現実があるのに日経新聞社説の「人口減に克つ(2)「女性が辞めない会社」が飛躍する(1/3)」は成立するものか?と思います。現時点で子供を育てながら職に就くのが難しいのは事実でしょう。だから職場や会社を整備して・・・というのは、現状の安定にはなるかもしれないが事実上出産率を倍に引き上げる役に立つとは思えないです。
もし出産率を倍に引き上げるのであるなら、出産適齢期の女性が出産・育児だけに集中しても経済的にも社会的にも問題なく、就職する必要は特には無いという社会しか無いでしょう。

静止人口を維持するという目標にするだけで、こんなことが見えてきます。
「人口減が問題」「少子化対策を」という意見の多くが「こういう目標にするから」という前提抜きに出てきているのはどうにも役立つアイディアにすらならないと感じています。

1月 7, 2006 at 10:22 午前 人口問題 |

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