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2006.01.25

インターネット実名制で被害防止・韓国

韓国中央日報社説インターネット実名制で悪質なコメントを追放しよう
検察が、林秀卿(イム・スギョン)さんの息子の死亡記事について悪質なコメントを書き込んだ25人を刑事処罰することにした。悪意的なコメントに検察が動き始めたのだ。インターネット掲示板に根拠がない誹謗や名誉を棄損するコメントを載せて処罰された事例はあるが、悪意的なコメントを刑事処罰するというのは今回が初めてという。時遅しという感はあるが、当然の措置だ。
今インターネットでは悪口や誹謗、人身攻撃が乱舞している。一言で‘無法天下’だ。最近は林秀卿さんの事件のように他人の不幸を楽しむ加虐的、変態的なコメントも多い。
これは弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」さんが1月23日に取り上げた「[インターネット事件]インターネット「悪性レス」に法の処罰」と同じ事件について、中央日報が社説を出したものです。

どこの国にでもあることなのだと思うし、小倉秀夫弁護士名義のコメントは「某巨大匿名掲示板の管理人を名誉毀損又は侮辱の共同正犯ないし幇助犯の疑いで刑事告訴する被害者が現れたときに、警察ないし検察がどう動くのかということは、難しい問題としてあり得ますね。」とまで述べていますが、わたしは管理者経験をもってすると実名制などをもってしても管理することは不可能だろうという気が強くします。

確かに「これは論外」という発言があって、それを削除するのは簡単なのですが、削除したからといって問題は隠されただけで社会として解決したのか?となると、削除で解決できるのは「確信犯的落書きをした場合だけ」です。

以前、見るに堪えない掲示の内容を追いかけてみたら、刑事事件そのものであった、ということすらありました。
関係者(弁護士さん)にコンタクトしたから分かったことで、また弁護士さん(被害者も)わたしの管理するところに書き込みがあったことの情報を得たことを喜んでいて「ほとんど管理者は反応ありません」とおっしゃってました。
ルール化を強化してもどこかに抜け穴は残るわけで、ルールによる機械的な排除と並列して、途中や結果に対して判断する受け手側の能力向上も図らないといけない。
しかし往々にして事前の対処は利用者の油断に直結するところがある、というのが悩ましいところです。

わたし自身は、「実名制で・・・・」といった手法はムダであるという観点で反対する者です。

1月 25, 2006 at 10:34 午前 ネットワーク一般論 |

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コメント

実名性にすること、つまりはパーソナリティと名前を結びつけられることで解決するなら、過去のソーシャルブックマーク、最近のはてなブックマークで起こったようなことは起こらないはずだけれど、でも、実際には起こっちゃうんですよね。

ある程度減ることは間違いないけれど、かといって、ゼロには決してならない。確信犯的なものはなくならない。それが正しいと思っているからやるのが確信犯なんだから。

では、実名性にすることで何ができるようになるかと云えば、責任の所在が誰にもわかりやすくなるという点で、つまりは処罰する、責任を取らせるという方向性の話になっちゃうわけです。

しかし、それは、正しいことを云った人間が、それを困る悪人によって封じられる危険性も生むわけです。

管理者が、そして、警察・検察・政府といったものが常に正義の人であればいいわけですが、そんなわけはないことを歴史は語っています。そして、また、公開された実名は犯罪組織にも利用が可能なわけです。

歴史から学ぶのであれば、実名性のみしか選択肢がない状態はファッショというのですね(笑

オーウェルの『1984年』の世界とか、崩壊前のソビエトとか、そういう巨大な村社会というか、お互いに監視しあう世界での幸せもあるんでしょうけれど、それは、今よりも深い闇を生むだけでしょうねぇ。

投稿: Tiger | 2006/01/25 11:32:32

要するにニフティのフォーラムでは誹謗中傷・名誉毀損・侮辱的発言がなかったとでも言うことですよね。
あるいはfjとかのニュースグループでもいいけど。

投稿: 町村 | 2006/01/25 15:37:54

>要するにニフティのフォーラムでは誹謗中傷・名誉毀損・侮辱的発言がなかったとでも言うことですよね。

確かに実績的には現在の2ちゃんねるようなことにはなりませんでしたが、それはガッチリと管理しているような雰囲気があったからで、潜在的には十分にあったと思います。

NIFTY-ServeのようなID制が韓国で話題になっているインターネット実名制のような位置づけかと思いますが、NIFTY-Serveからインターネットに移っていった理由もID制だったわけです。

ことインターネットは例えば韓国だけが実名制を採用したら、韓国外で登録する韓国人が出てくるだけでしょう。
インターネットの登録といった面でのハードルは国境よりも遙かに低いです。

一方、ID制や実名制を成立させ管理するための実際的な手段は現在のプロバイダの存在は欠くこと出来ないと思いますが、プロバイダがそろそろ成立しがたいという現実を考えると「どこに登録し、管理するのか?」という「実行しても現実性がない」ということに直面します。

かなり近い将来、ハードウェア的に(だから細工は不可能)なサーバが出てくると考えています。
こうなると、IPアドレスは固定されるわけでプロバイダそのものが不要になってしまいます。
そんな世界でどうやって管理が出来るのか?という全くの不可能であろうと思っています。

まぁ結局は社会の反映以上にはならないわけで、街に落書きがある限りインターネット上の落書きは無くならないと思っているのです。

投稿: 酔うぞ | 2006/01/25 21:57:35

管理されていない場であったら、「誹謗中傷・名誉毀損・侮辱的発言」としてとらえられフレーミングしたであろう文章、フォーラムの中では、管理者だけでなく、参加者も含めて、消火活動を行ったり、無視されたりされてましたね。

一つはID-ハンドル制による匿名でありながら個人との結びつきがある程度確保されていたこともあるでしょうが、もう一つは管理者自身が何もしなくとも、ちゃんとした管理者がいると云う雰囲気だけで「あの管理者が何も言わないならスルーすべきものなんだな」という意識・学習も重要だったのではないかと思われます。この辺りが酔うぞさんの云う「結果に対して判断する受け手側の能力向上」の一つだったろうと思います。

インターネット上の掲示板でも管理が疎かな、放置されているところがまずは荒れる。管理されているところは荒れる場合は、意識的に攻撃された場合か、もしくはスルーすべき発言に管理者が下手に反応した場合(これも意識的な攻撃を誘発するという意味では前者と同じ)がほとんどであるということがあります。

といっても、インターネットのような全世界対個人管理者となりかねない場で、管理者が何でも対応ができるわけではないので、それこそ、システムによる機械的なフィルタリング(スロットリングとかNGワードとか)は絶対必要ですけれどね。

それはある意味 spam の排除と同列と考えて良いんだろうと思います。


ところで、プロバイダが意味をなさない世界で管理をできる存在といったら、そりゃ国家しかありませんね。

IPv6で、やりようによっては、国民総番号制も可能になるわけですが、国外での登録を規制することができるとしたら、物理的設備をコントロールできる組織ということになるでしょう。日本の場合は、憲法改正までにらまないと難しいだろうとは思いますが、中国なんて、その気になればやりかねない気もします(笑

それにしたって、では、国外からのアクセスを遮断できるかと云えば、そんなことをしたら、インターネットではなく、インターネットに繋がっている別のネットワークになってしまうわけで、いわばネット鎖国も平気でできる社会・国家でないと難しいと云うことになります。

それは「角を矯(た)めて牛を殺す」みたいことになるわけで、だからこそ、インターネットの実質的コントロールも可能であるはずのアメリカでさえ、それはやらずに、黙って「エシュロン」みたいな手法に走るわけです。


まあ、実際には、そこまで大げさな話ではなくて、いわゆるムラ社会においては、実名制がある程度有効であることは確かですから、そうすることでデメリットよりメリットが上回る場合に限り、それを選択することは大いにあると思うのですが、それは、インターネット全体に有効な話ではないだろうと思いますね ^^;

投稿: Tiger | 2006/01/26 8:36:37

>ムラ社会においては、実名制がある程度有効であることは確かですから、そうすることでデメリットよりメリットが上回る場合に限り、それを選択することは大いにあると思うのですが、それは、インターネット全体に有効な話ではないだろうと思いますね ^^;

わたしが最初にインターネットを利用するために登録したの「アメリカのIBM」でありました(^_^;)

世界が同時に監督するという仕組みでも作らない限り、国ですら監督できないでしょう。

なにしろ現実にビデオが踏み台になったという事件があったわけで、責任が追及可能というのは接続していてそのやり取りが追跡可能だから責任の追及も出来るというのは正しいと思いますが、一般的な意味での犯罪の追跡とか製造物の追跡とはちょっと違うと思う。

製造物の追跡なんてのは、流通がカスケード構造になっているから出来るわけで、ネットワーク構造では「どこに何があるか分からない」のだから、追跡しても結論にたどり着くまでに「段々と絞り込まれる」ということが本質的には無いはずです。

だからすごい重大な事件以外は追跡のコストに社会が耐えられない。
今でもこれによって一般には追跡不可能だから「一見匿名」が実質的に機能しています。

現実には「手間暇を掛ければ追跡可能」ですから、インターネットは犯罪のために使われないわけです。

この「手間」を減らすために「実名制」にするということですが、現時点で「一見匿名」を利用しているようなのが「実名」で出てくるとは考えられないわけで、他国に登録とかするでしょうねぇ。

響きは良いけど効果は肝心なところには利かず、単にインターネット利用全体を減らす方向になると思う。
それは間違えなく社会的なコストアップでしょうね。
効果が無くてコストアップじゃ話にならんでしょう。

投稿: 酔うぞ | 2006/01/26 8:54:35

こんなのが。

「不快感を与えただけで犯罪に」--米国新ネット関連法の危うさ - CNET Japan
http://japan.cnet.com/column/pers/story/0,2000050150,20095138,00.htm

投稿: Tiger | 2006/01/26 11:23:31

 匿名性が厳格に保障されるほどカジュアルな誹謗中傷を引き起こしやすいのであれば、匿名性の保障の程度を低くすればカジュアルな誹謗中傷は減少しますが、それは匿名性の保障の程度を低くする法改正を行うのには十分な理由となります。
 自由な社会で採用可能な法律なんて所詮はある種の行為が発生するのをある程度減少させる機能しか持たないわけで(刑罰権を持って殺人を規制したところで殺人はなくなりません。)、だからといってその法律が無駄だということにはなっていないのです。

投稿: 小倉秀夫 | 2006/01/29 16:20:19

小倉さん

>匿名性が厳格に保障されるほどカジュアルな誹謗中傷を引き起こしやすいのであれば、

問題はここの評価だと思います。
小倉さんも仮定されている通り、この点の評価つまり「匿名性と誹謗中傷の関連性」ですが、匿名性の中には実名であろとなんであろと追跡不可能であれば匿名だし、IDなど本人を直接知ることにはならないが、個人特有であれば匿名ではないのかもしれません。

つまりは「匿名」ということ自体がうまく定義出来ていない。
それを「匿名であるから」「匿名でなければ」という議論は無理だろう、つまり有効では無いだろう。
と考えています。

韓国の例に対して「海外で登録したら」と書いたと通りで、全世界で同一レベルで管理でもしない限り、ある国のインターネット利用者が減る、といった効果しかないのではないか?とも思うのです。

その一方で世論が「バカなことをするな」とすれば誹謗中傷がある程度減るのも確実で、全体としてどこにバランスを持っていくのか?という議論でありましょう。

つまりは特効薬は無いわけで、それは小倉さんが
>詮はある種の行為が発生するのをある程度減少させる機能しか持たない
とおっしゃっている通りです。

つまりは「実名制」や「ID制」「プロバイダに管理させる」もすべては程度の問題であり、パソ通以来の変化はこのような規制を逃れる方向に来たという現実は「昔同様にすれば」というのでは「それは無理だろう」と最初に思ってしまいます。

投稿: 酔うぞ | 2006/01/29 22:02:12

興味深く議論を拝見させていただいております。

私自身もとしては酔うぞさんの意見同様、ネットID制を試行したとしても故意犯としての誹謗中傷に関しては全く減少しないと考えておりますし、コスト増の割に得られる成果は期待ほど大きくはない、とも思います。

ただ、私自身が実体験として最近痛感するのは、ネット上の誹謗中傷による実害が、最近青少年、とりわけ小中学生において非常に大きくなっているという点があります。
私の職業は主に思春期の精神科外来なのですが、ここ数年ネット上での誹謗中傷(学校ローカルなコミュニティでの実名中傷)を理由としたストレス障害が非常に増えております。

これらの加害者は発達段階が社会的成員となるための途上にあり、ネットに書き込むリスクと、それがもたらす影響について必ずしも十分考察した上で書き込みを行っているとは考えがたいですので、ネットID制ではないにせよ、必ずしもインターネットは匿名ではないということ、誹謗中傷で何らかの傷害を与えた場合には傷害罪にもなりうるということ、の情報教育だけは必要かと思っています。

投稿: poro | 2007/08/18 21:18:00

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