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2005.10.14

鳥取県の人権条例

読売新聞社説より「[鳥取人権条例]「拙速な制定に追従すべきでない」
鳥取県が全国に先駆けて「人権救済条例」を制定した。差別的言動や虐待など、人権侵害の被害救済を目的とし、来年6月に施行される。

救済機関となる人権侵害救済推進委員会は、知事が任命する男女5人の委員で構成される。被害救済の申し立てを受けて調査を開始し、加害者側に是正勧告などを行う。従わないと氏名、住所などが「公表」される。

委員会の調査権限は絶大だ。条文上は事情聴取や資料提供などの「協力」を求めることができる、とされているが、拒めば5万円以下の過料が課される。実質的な処罰規定で、調査に応じることを強制しているに等しい。
ずいぶん強力な条例を制定したものだと思う。
「人権」と名付けるとなんか特別のものがあるように感じるが名誉毀損と重なるのではないか?と直感的に思う実際にこのようなことらしい。

「名誉又は社会的信用を低下させる目的」で、「私生活に関する事実を公然と摘示する行為」に当たる、と判断されれば、是正勧告の対象となる。
読売新聞社説などは報道機関が適用除外になっていないことを問題にしている。
「人権侵害」の定義があいまいな上、報道機関が適用対象とされていることも大きな懸念材料だ。
報道の公共性や公益目的の有無などは勘案されず、政治家の不正疑惑を追及する記事なども一律に規制対象になる恐れがある。
その一方で、行政機関の長が、調査への協力は「捜査」や「刑の執行」、「公共の安全と秩序の維持」などに支障を来す、と判断すれば、協力要請を拒めるという規定もある。

警察や刑務所での強圧的取り調べや、職員による暴行事件がしばしば問題になる。救済申し立てがあっても、県警本部長や刑務所長が「ノー」と言えば、調査はそこでストップしてしまう。

私人には罰則を課しながら、公権力機関には“抜け穴”を用意するなど、条例は著しく均衡を欠いている。委員会が実質的に県の付属機関となっている点も、独立性の点で問題がある。
しかし、わたしには名誉毀損罪として刑法・民法で定義されていて手続き的も長年の実績がありる法律問題について条例を定めてはどちらで判定するのか?という問題になってしまうし、そもそも反論のしようない条例のように見えるから鳥取県弁護士会が会長声明で「憲法違反の恐れがある」と述べたのは当然ことと言える。
この条例については引き続き検証する必要がある。

10月 14, 2005 at 08:37 午前 セキュリティと法学 |

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コメント

はじめまして。
なにか治安維持法のような薄ら寒さを感じる条例ですね・・・。

投稿: newKamer | 2005/10/14 10:35:34

人権侵害というなら、不当解雇や退職強要、セクハラ、パワハラ、サービス残業など職場で起きていることも、立派な人権侵害でしょう。
労働事件については、労基署や労働委員会などの公的機関があるし、それらとどう住み別けるのでしょうね?
何か、無理やり役人の仕事を作ってるような…

投稿: Yamag | 2005/10/14 14:29:24

基本的には衆議院解散で廃案になった人権擁護法と同じ条例だと思います。

人権擁護法で問題になったのは、人権委員が令状なく捜査権限があるといったところで、今までの法律の体系には当てはまらない仕組みであった、というところです。

問題の条例もほとんど同じですが、やはり人権委員といった県職員ですら無い人が「人権条例違反だ」決めればそれで命令が出せて、反対(反論と違うのかね?)すると条例違反で罰金刑、という構造のようです。

個人情報保護法の勉強をしている時に日本の法律の半分が行政法だということを知りましたが、行政法の適用は裁判によらないので一般的に厳しくなるとも言われているそうです。

行政法の多くは各種事業者の行動を規制するものと言って良いでしょう(個人情報保護法も個人情報取扱事業者が対象です)人権条例にはそれはないでしょうし、インターネットの発言なんてのは実際に名誉毀損裁判がバリバリ起こっていることを考えると、片っ端から条例違反になってしまうでしょう。

とてもまずい法律構成だと思いますね。
憲法違反で提訴する人が出てきそう。

投稿: 酔うぞ | 2005/10/14 15:04:24

newKamer さん

コメントありがとうございます。

>なにか治安維持法のような薄ら寒さを感じる条例ですね・・・。

治安維持法よりよほどタチが悪いと考えています。

治安維持法は法律ですから裁判がありました。
条例では裁判になるのは、命令に反対したときだけです。
裁判なしに命令は来ちゃいますよ。

チョー法規的ですよ、憲法違反だろう。

投稿: 酔うぞ | 2005/10/14 15:07:37

Yamag さん

>人権侵害というなら、不当解雇や退職強要、セクハラ、パワハラ、サービス残業など職場で起きていることも、立派な人権侵害でしょう。

それは違うと思う。
少なくともご紹介の例は人権擁護法とか人権条例の適用にはならないでしょう。
それは、すでに適用する法律などが明確にあるから。

わざわざ、人権擁護法とか人権条例を作った理由は、今の法律では使いにくいといったところに対応を考えたのでしょうから、法律的に不明確といったところだとやはり名誉毀損事件が適応かな?と思います。

現在の裁判制度が公開であるから裁判にすると被害者の情報が公開されてしまう、といったことを問題だとする意見は強いですが、だからと言って「天に変わって悪を絶つ」がごとき考えは人類史において何度も失敗したことの代表です。

人権擁護法とか人権条例というものが、行政にだけ向けられるのなら、それは結構なことだと思いますが、今回の条例に至っては「行政だけが適用除外」というあまり考えられないシロモノです。

条例の中には結構怪しげなものあるのが最近見えてきましたね。注意していないと危ないです。

投稿: | 2005/10/14 15:14:50

進学・就職・違反もみ消しに猛威を振るう「地元のエラい人」に、危険なおもちゃを与えてしまったと思うのは穿ちすぎでしょうかね(^^;

都会ではともかく地方では「地元のエラい人」の存在は大きいので…

投稿: と | 2005/10/14 22:06:33

酔うぞさん
>少なくともご紹介の例は人権擁護法とか人権条例の適用にはならないでしょう。
>それは、すでに適用する法律などが明確にあるから。
いや、解ってますって(^^;
「人権保護」なんて大げさな物言いなもんで、つい、突っかけてみました。
「共謀罪」もそうですが、法律の適用範囲が曖昧かつ広いので、運用側で何とでもできてしまう恐ろしさがありますよね!

>わざわざ、人権擁護法とか人権条例を作った理由は、今の法律では使いにくいといったところに対応を考えたのでしょうから、法律的に不明確といったところだとやはり名誉毀損事件が適応かな?と思います。
なのかもしれません。

話は変わりますが、民事事件では、裁判官の考え方がどうも世間一般とはかけ離れているんじゃないか、とおもう判決が時々あります。
で、民事裁判にこそ裁判員制度を導入すべきじゃないかと、最近、思っています。

「と」さん
>都会ではともかく地方では「地元のエラい人」の存在は大きいので…
島根は隣の県か…(^^;

投稿: Yamag | 2005/10/14 23:57:56

Yamagさん

いや、まぁ読者向けというわけで(^_^;)

共謀罪は元が条約だから話がやっかいなんですが、そもそも条約が提案されたのが9.11同時多発テロの反応で、それは今では「行き過ぎだった」という評価になりつつあるときに、どうしても法律が必要だというのに無理があります。

だから与党内でも反対意見があるとのことで、与党が絶対多数だからやれば出来るけど、やりますねぇ?

わたしはやはり人権擁護法の方に注目が行きますね。
これは、同和利権との関係を無視しては考えられないので、時間の経過の問題と言えます。

同じ事が「中西 vs 松井裁判」の背景にもあるのよね(^_^;)
要するに利権争いが背景にあるというわけで・・・。

横浜地裁の「中西 vs 松井裁判」の訴訟指揮では裁判長がたびたび「傍聴人に向けて・・・」と発言しているのには好感が持てますね。
しかし、裁判所の前例(判例)の過剰重視はもうちょっとなんとかするべきだろう、と思います。

投稿: 酔うぞ | 2005/10/15 7:56:18

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