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2005.07.21

中西 vs 松井裁判・新情報

横浜国大の益永先生が「中西 vs 松井裁判」関係のリンクセンターを設置してくれました。

益永先生の第二回口頭弁論傍聴報告がアップされています。
さて、ここからは感想などである。今回は原告の反論があったのだが、中下弁護士がプレスリリース(http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/keijiban/keijiban_master.html)において、本訴訟に至った経緯として、「本件は、決して、松井氏が個人的な名誉回復だけを求めて提訴したものではない」の(2)として書いた主張は、さすがになかった。ということで、名誉毀損の事実の有無を中心に審理されることになると考えられる。そこで、松井三郎氏が講演でナノ粒子について紹介した際の発言が専門家として適切なものだったか否かがポイントになる。弘中弁護士の発言からすると、録音テープの提出でそれが明らかになるとのことで、期待したい。また、中下弁護士が主張した新聞記事が十分に検証されているのかについては、今回のナノ粒子の記事がどうだったのかが問題になるべきと思われた。この辺りの審議がどうなるのかも気になる。
益永先生の感想はこのようなものですが、わたしはちょっと違う感想です。

確かに名誉毀損となる事実がいまだに分からないという問題がありますが、これについて「これが事実です」と現時点で原告側が述べていないことを明確に出してくるのか、「総合的に名誉を毀損している」というあいまいな「事実の指摘」になるのかまだ分からないな、と思うのです。

傍聴しミーティングでお話しを聞くまでは、わたしも含めて複数の人たちは「松井教授をダシにして、弁護士などが暴走したのでは?」と考えていたのだが、その場合は「批判が名誉毀損と言えるのか?」というそれこそ事実関係を含んだ狭い範囲について検討すれば裁判の目的は達成されます。
これは正にわたしが考えているインターネット上での表現や批判と名誉毀損といった問題です。

ところが中西先生の「雑記・最新版」
しかし、裁判所に出された松井さんの陳述や、私宛のe-mailを読むと、それだけでない、どろどろしたものを感ずる。政治的なもの以外に、松井さん本人の考え方が、この裁判の推進力の一つにはなっている。底流にそういうものがあると強く感ずる。
どういう底流かと言えば、“俺は偉い”という強い主張である。見方によってはどろどろとした、他の見方によれば実に子供っぽいものであるが、それがすごい。
と書かれていて、われわれネットワーカレベルではまるで分からない「業界内の事情」のようなものが問題なのかもしれない、と理解しました。
現実問題として、どんな裁判でも裁判で争いになっているのはいわば氷山が海面に出ているところを見ているようなもので、背景や思惑が海面下にあるのは当然ではあるが、それがあまりに「知らない世界の話」になると「裁判全体が理解しがたい」となってしまうのは、今までいくつもありました。

民事訴訟の本質は、当事者である原告と被告の間の問題解決であって、社会的な常識だからといって、原告も被告も主張しないない第三の方向の判決が出ることはありません。
わたしは原告でも被告でも、また業界人でもない単なる野次馬の立場は変わらないわけですが、インターネット上の表現の自由という観点では色々と動くつもりでいます。
ですからこの裁判でも「HPに意見を発表したら名誉毀損とされた」という点に注目するのですが、だからと言って当事者である中西先生のお立場を軽視するなんてことは出来ません。
しかし同時に「業界内の力関係(?)」のような話になっても「そうですか・・・・・」としか言いようが無いのが、まどろっこしいですね。

しかし、今後どういう展開になるのでしょうか?ネットワーカとしては原告の提訴の本文の部分である「HPに発表した意見は名誉毀損」といった見解には反対します。具体的に「この言い方(書き方)は名誉毀損に該当する」とはっきりした見解を示すべきです。

7月 21, 2005 at 09:04 午前 裁判傍聴 |

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コメント


コメントありがとうございます。

実は(またか(^_^;)、横浜地裁に傍聴に行って、その場で中西先生の
支援組織を作りたいということで、apj さんと情報交換をしています。
また、中西先生の感想も伺いましたが、各種情報を総合すると、
原告の松井教授がインターネットというかHPについて、
ネットワーカー一般が了解している理解とはかなり極端に違っている
のではないか?と感じるようになりました。

ご本人に聞くべきことではありますが準備書面でHPについて
このような感想を示していらっしゃいます。

   >双方向のコミュニケーションが保障された場ではなく、
   >一方的な表現媒体であるうえ、他者によるチェックが
   >全く働かない自己のホームページ上で批判したのであろうか。
   >被告がわざわざ自己のホームページという媒体を選択したのは、
   >学問の進歩に寄するというよりも、
   >むしろ原告に対する批判を自己のホームぺージにアクセスする
   >不特定多数の読者に知らしめる目的であったと思わざるを得ない。

不特定多数の読者が見るからこそ、学問的な面も含めて批判されて
よりよい意見に落ち着くのだろう、というのがネットワーカとしてわたしの
マクロな理解です。
つまりHPに意見発表したから誹謗中傷になる、と取れるある特定の
意見発表の手段を問題にするのでは「新聞だから」「週刊誌では」と
何でもありになってしまいます。
事実、準備書面で「新聞記事は客観的事実として扱うべきで・・・」という
主張を展開しています。

内容以前の問題として「新聞なら良いがHPではダメだ」という前提で
意見発表について枠をはめた考え方には非常に違和感を感じます。

投稿: 酔うぞ | 2005/07/22 10:17:35

削除された発言は読んでいません。

もともとこの裁判の流れを時系列で説明すると

12月15日国際シンポジウムが開かれる
1月20日ごろ松井教授より講義があり、中西先生は削除
3月16日提訴
5月15日に、わたしが「インターネット上の表現の自由を考える会・掲示板」でこの訴訟を知る

といった経緯です。
わたしはネットワーカとして注目していますが、中西先生の発言が削除される以前に読んでいた方々は環境問題に興味のある方だけでしょう。
とは言え中西先生は環境問題では第一人者ですから、非常に多くの方々だとは思います。

代表的なところでは横浜国大の益永先生の備忘録を読むと想像することは出来ます。
http://risk.kan.ynu.ac.jp/masunaga/%96%BC%97_%9A%CA%91%B9%91i%8F%D7%83%8A%83%93%83N%83Z%83%93%83%5E%81%5B.htm

http://risk.kan.ynu.ac.jp/masunaga/bibouroku49.htm
などでだいたい様子は想像できます。

松井教授の主張と中西先生の削除された記事を全く読んでいないわたしの私見は全面衝突していましうのですが、
わたしはシンポジウムのテーマが環境リスク・コミュニケーションであるのだから、個々の要素であるダイオキシン問題・ナノ粒子問題などをリスク・コミュニケーションとの関係を説明しなかったという時点で批判されるのは当然だろう、と思っています。

ところが松井教授の主張は、重要な問題であるから批判することが名誉毀損だ、ということのようです。
この原告側の主張が分からないというのが傍聴した方の多くの感想です。

投稿: 酔うぞ | 2005/07/23 10:19:31

最初のコメント入れたものです。お返事ありがとうございます。
この準備書面って、弁護士の見解じゃなくて科学者たる原告の松井氏の見解ですよね。

新聞の科学記事が客観的事実と言う主張は、科学者としては失格と言ってよい態度だと思いますが。
準備書面要約の聞き語りを元にした感想ですので、ちょっとのニュアンスの違いで話は変わるかもしれませんけど。

さらに新聞の科学記事が客観的事実と主張するのであれば、原告プレスリリースの名誉毀損行為の内容
>新聞記事のスライドを見せたが、原論文も読まずに記事をそのまま紹介した旨の記述
は仮に事実と違っていたとしても名誉毀損行為にならないのかなと。

投稿: 1 | 2005/07/23 15:23:06

いや、だから(^_^;)

「分からない」で統一されちゃってるのです。
実際に傍聴していた方でネット上で感想を発表している人が全員「分からない」というのは、ある意味ですごいと思います。

わたしにとって「分からない」には「どこを名誉毀損といっているのか分からない」ですが、どうも新聞記事をそのまま紹介した(ように見える)という表現が名誉毀損だということになるようです。

あ、ここまで書いて思いついたけど松井教授にとっては名誉毀損とは発言する人によって名誉毀損になったり、ならなかったりすることなのかもしれません。

こういう概念ってあるのかな?

投稿: 酔うぞ | 2005/07/23 15:33:56

2番目にコメントしたものです。
もとの文を読んでおられないとのことですが、名誉を毀損するほどの内容が書かれていたとも思えないという認識でしょうか。だとすれば、中西さんが、「わたしに非がありました」として削除したのも、いまいち、わかりません。削除した時は、まだ、訴訟の話はなかったわけでしょう。抗議された内容も不明のまま、削除されては、ネット上で議論しようがないです。問題提起し、議論したければ、そのまま残しておけばよかったとも思います。
削除したのは、誤った内容を掲載たためか、ネットに掲載したこと自体をまずいと思ったのか、その両方か。今後、この辺があきらかになればいいのですが。

投稿: コメンテータ2 | 2005/07/23 21:35:27

>名誉を毀損するほどの内容が書かれていたとも思えないという認識でしょうか。

わたしにとっては「どこが名誉毀損と主張しているのかが分からない」です。

分かっているのは「中西先生の発言(書き込み)が名誉毀損だ」と松井教授が主張している。ことだけで「どこが」が分からないから、結局は「名誉毀損かどうか分からない」と同義語ですね。

この点について、中西先生の元の文章が今では削除されているから、分からないということでなくて「原告側の主張を聞いても分からない」なのです。
極端なことを言えば、中西先生の発言はすでに削除されているのですから、ねつ造とは言わないまでも強調する部分かえて原告側に有利になるように「こんなこと書かれました」とでも発表するのはアリだと思うのですが、それすらない。

一般的に名誉毀損事件は刑事・民事とも事実を争わないものです。
このため、名誉毀損事件では挙証責任が原告と被告で、他の事件とは違って逆になっています。

一般の事件では原告が被告の責任を証明することになっていますが、名誉毀損事件では名誉毀損に相当する事実について争いがないので、被告が名誉毀損行為が責任を負わせられるものではないことを証明する、という逆の構造です。

ところが今回の事件は、原告側が名誉毀損事実を指摘したと弁護側が同意していない、というちょっと珍しい例なのです。

コメンテータ2 さんのご意見は、普通の名誉毀損事件の範囲のことを指しているように理解しますが、今回の裁判については中西先生が削除したのは「クレームがあったから」という以上ではないと思います。

おそらくは削除した文章を公開しても「これのどこが名誉毀損なのか?」にしかならないように思います。

しかし、名誉毀損事件の一般的な手続きは「事実は争わない」ですから、今回の裁判でも開始の時点では「争いの無い、事実の指摘がある」という話で始まったのだと思いますが、わたしが傍聴した第二回口頭弁論での原告側の二回目の主張を聞いても「どこが名誉毀損の事実指摘なのか分からない」です。

>抗議された内容も不明のまま、削除されては、ネット上で議論しようがないです。

確かにそれはあるのですが、どうも元の文書を検討してもはじまらないようです。
この点については、読んでいる方の感想がどれも同じということで、十分かなと思います。

やはり法律問題なのですから「どこがと明確には言えないが全体として名誉毀損」なんて表現は許されないと思うのですが、原告側の主張はかなりこれに近いのではないか、と思っています。
(思っていますというのは、主張そのものが良く分からないからです)

投稿: 酔うぞ | 2005/07/23 23:30:25

>すなはち、松井さんの考えが変ったかのような誤った印象を与える意見

わたしは、この部分は名誉毀損にはどう転んでもならないと思っています。
正直なところ微妙だなとも思いますが、業界といいますか、舞台となるコミュニティの作法のようなことで決まると思います。

具体的には、学会であれば論争もあるし、プレゼンや発表の内容で誤解されることもあるだろうから、
「わたしはこう解釈した」というのは基本的に意見表明以上では無いだろうと思います。

プレスリリースでは
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/keijiban/keijiban05.html#%8Cf%8E%A658

>(ⅱ)その後、中西氏は、自らのHPに「雑感286-2004.12.24
>『環境省のシンポジウムを終わって―リスクコミュニケーションにおける研究者の役割と責任』」
>と題する記事を掲載し、その中で、松井氏が、
>   ① 「環境ホルモン問題は終わった、次はナノ粒子問題だ」というような発言をした
>   ② 新聞記事のスライドを見せたが、原論文も読まずに記事をそのまま紹介した
>旨の記述をした。

となっているので、これを図式にすると
松井教授のプレゼン→中西先生の解釈・論評→松井教授の解釈・論評→提訴
という解釈の解釈という二重にぼけた話で、その点で削除された記事を検証すると、解釈の解釈が正当か?という議論にはなるでしょう。

ただ、わたしは先に書いたように、学術上の発表と解釈が名誉毀損になる、それもHPの書き込みで、となると全体としてインターネットでの情報発信を萎縮させる方向に向かうので、気に入らないというのが本音です。

ちょっと幅広すぎると言われるでしょうが、有害情報の扱いなど全体としてインターネットを抑制するのが正義だという論調が強すぎると思っているので、その点から注目しているのです。

投稿: 酔うぞ | 2005/07/24 11:46:35

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