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2004.10.17

ロースクール志願者激減?

ロースクール問題で取り上げた、法科大学院卒業者が司法試験に合格する可能性が当初の予定の7~8割から30%台に落ちるという予想が出たことで、朝日新聞に次の記事が出た「法科大学院の志願者激減 新司法試験の合格率懸念?」
ビートニクスさんがコメントした通りになったと言える。

ただ、仕事を辞めて新司法試験を目指そうという人たちにとっては、厳しい現実を知らせることなった訳で、「賢い」社会人は、来年以降ロースクールには行かなくなるように思いますね。

朝日新聞の記事でのこの現象への説明は

・「課題や合格率の厳しさが漏れ伝わり、社会人は様子見をしているのではないか」
・「当初、新司法試験には法科大学院出身者の7、8割が合格するとされたが、今では2、3割とまで言われている。仕事を犠牲にして法曹を目指すにはリスクが大き過ぎる」
・都内の女性会社員(25)は悩んだ末、法科大学院の受験をやめ、働きながら現行の司法試験を目指そうと予備校の講座を申し込んだ。「法科大学院を修了しても、必ず弁護士になれるとは限らないなら、最短距離の現行試験にかけてみようと思って」
・「法科大学院の3年は長いし、授業料も高い」などとして、現行試験を目指す人は多い
・文科省専門教育課の専門職大学院室は「初年度は、それまで待っていた人が一気に受けたと考えられる。数年すれば志願者数も落ち着いてくるのでは」

となっていて、総じて常識的な判断をしていると言えよう。このような敏感な判断をする人たちが法曹界に入ることは良いことだと思う。

一方で、司法修習生の生活費を給与から貸与にするという法案が提出されるが、期間が1年半であるから、年間300万円として450万円である。これを給与から貸与では、相対的には900万円差となってしまってあまりに格差がひどすぎるというべきだろう。
半分とか1/3を貸与にするといったところが妥当ではないかと思う。
一方で、ロースクールにお金が掛かるから・・・という論もこれまた乱暴に過ぎている。ロースクールにはお金が掛かるから国が出すべきだ、とも取れる。

国民つまり司法従事者のサービスを買う消費者にとっては、適度にバランスが取れたところで優秀な人材が法曹界に競争して入る形であることが一番望ましい。そのためには、競争意欲を失わせるような過度な競争も、誰でもなれるといった競争の事実上の撤廃もどちらもダメで、あえて言えば非常に厳しい競争になるべく多くの参加者があるような形が一番良いだろう。

次回の志望者の動向によって、ロースクールが有効なのかどうかが確認できるだろう。

10月 17, 2004 at 10:54 午後 セキュリティと法学 |

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コメント

酔うぞさん
 私のコメントを引用していただいてありがとうございました。
 私としても、先日の合格率に関する報道が、こんなにストレートに、法科大学院の志願者の大幅減少となって現れるとは、正直言って驚いています。
 ただ、社会人の場合には、今の仕事を辞めた上に、高額の授業料を支払うのに見合う結果が得られるかどうか(つまり、費用対効果)を考えるのは当然であり、2割程度の合格率ではリスクが大きすぎると判断するのは当然です。

 そういう意味では、今の合格率や、試験制度のあり方を変えない限り、法学部以外の学部出身者や社会人による志望者の増加を期待することはできないと考えられます。

 当初は、最初の試験の結果が出れば、現在ある法科大学院の半分以上は潰れると噂されていましたが、その前に、志望者が受験しないことによって潰れる法科大学院も出てくるのかもしれませんね。

投稿: ビートニクス | 2004/10/19 4:53:42

ビートニクスさん

ロースクール計画の説明があった時に「フムフム」と見ていたのですが、実際に大学がロースクールを作り始めたのを見ると、門外漢としては「一山当てるを狙っているだろう」としか思えないような例もあるように感じました。
もちろん、旧来の枠組みを脱却する方向でやっているところはあるでしょうが、それは門外漢クラスでは分かりません。
第一、教育という業界は回転が悪い、業績が出るのに長時間を要する業界ですからね。短期での評価はあまり意味がありませんが、当のロースクールがその期間を耐える体力があるのか、大いに疑問はあります。

しかし、受験生が自らの判断でさっさと切り替えるというのは、わたしの考える逞しい法曹人の資格の一つではあると思います。

次回以降が興味深いですね。そして注目をされることは、悪いことは無いと思います。

投稿: 酔うぞ | 2004/10/19 10:10:08

 ロースクールは、かなり期待している部分があるので、非常に厳しい現実を見せられた感じですね。(専門職を育てる学校機関として、興味がありました)
 現在、知り合いが職人学校の設立を目指して、ようよう完成にこぎつけ、開校しています。そのなかにいる人たちと話をしていると、専門職を教育指導することの難しさが感じられます。
 最近は、日本型デュアルシステムという方式が、日本の文部科学省や厚生労働省で取り上げられ、現実にいくつかの工業高校や専門学校等で開校されていますが、理想と現実のギャップをどう埋めていくかが、これからの課題になろうかと思います。(デュアルシステム自体は、民間の協力なく、完成しないシステムですが、現実の日本では、協力してもらえる企業を探すことが難しい状況にあるのは事実です)

投稿: nari | 2004/10/19 17:09:57

nariさん

わたしも同じように、ロースクールが法曹人の育成の方法にどう影響するだろうか(つまりうまくいくのかな?)と見ていました。
そうしたら、教育以前にロースクールが乱立ではないか?と思える状況になってきて、果たして当初の予想よりも厳しくなったと。

まぁ実務教育であるなら複線であるべきで、その意味ではわたしは現行の入学資格制度そのものにどういう意味があるか、大いに疑問に思っています。

新聞の投書にありましたが、卒業年次古いから受験資格が無いという資格もあるそうで、何なのだ?といところです。

しかし、マクロに見れば受験資格なんてものは、古いシステムの一部であって、徐々にではあるけど壊れつつあるのでしょう。

ただし、以前書きましたけど受験資格などで長期間かけてふるい落とす方法に対して一発勝負で受験とかでは、試験の厳しさは格段に大変になるでしょう。これは間違い無い。
短期激戦型になることは意外なほど語られないのがちょっと不思議です。

投稿: 酔うぞ | 2004/10/19 17:45:30

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