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2004.05.29

三菱ふそうハブ破損の詳細

日経ものづくり(ただし無料会員登録が必要)に「三菱ふそうのハブ,摩耗は「つじつま合わせ」---同社の内部技術資料より」という説明図付きの記事が出た。
記事の内容は、予想通りではあるが設計上の犯罪的な怠慢と言えるものだ。

これによると元々ハブにはA~F型があり、1983年から逐次変更されてきた。
最初にハブ破損事故を起こしたのがB型で、対策としてD型を作ったがこれが、横浜市の死亡事故を起こした型である。
つまり、B型の破損事故対策のためにD型に変更したはずなのに、破損対策になっていなかったわけだ。

B型の破損原因は(ぜひとも、会員登録して図面を見て欲しい)機械屋の用語で言う「内角」のR不足であった。
内角とは箱の内側の壁と底の関係のようなところで、折り曲げてあるから弱いという誰でも直感的に分かる部分である。

機械工学の専攻すると、1年生の設計の時間に「4倍の力がかかる」といった具合に教えられる、つまり大学1年レベルの問題で「応力集中」という。

問題のB型ハブの破損つまり亀裂の入った内角は2R(半径2ミリの円弧)で加工されていた。つまり機械屋の常識としては「ほとんど角である」だから亀裂(ヒビ)が入って最終的には割れてしまったわけだ。

当然、対策部品であるD型では「Rを大きくする」はずであろう。
ところが、日経ものづくりの説明によると。

付け根の隅Rを大きくするには,付け根と接触するブレーキドラムの金型も新たに設計しなければならない

技術的にはこれでは犯罪である。
どこか一部だけを直すと別のところに負荷がかえって集中するの常識だ。
それをブレーキドラムを既存部品を使うために、というの何だ!
その時点で、止めるべきだったのだ。
予想の範囲ではあるが、ひど過ぎる、当時の設計を承認した設計部長の責任を追求するべきだろ。

5月 29, 2004 at 05:28 午後 もの作り |

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コメント

 形状不良による応力集中が原因・・・。

 やっと真打がでてきましたね。(^^;

 ものの形状からして、0.何mmの摩耗が原因でってのはありえない、形状不良か素材の不良か以外はありえないだろう?と思っていたのですが。
 摩耗と関連づけて言い逃れたのが発端で、理にかなわない事を承知で突っ張り続け、いつになっても改良されない。

 FA世界などではありがちなケースのような気もしますが。(^^;
 直接の原因がいじりにくい箇所なので、別の場所をいじって逃げようとかで結局直らず、さらに別の箇所に原因を転嫁してそっちをいじり・・・を延々何年も続け・・・。
 最終的に最初の部品・・・作り直しても数千円、作業が面倒なだけの場所をいじったらすっきり良くなりました。
 最初からわかってた直接の原因を排除していれば、メーカもユーザもこんなに費用は掛からなかったのに・・・みたいな。

 FA設備の人命に直接影響のない場所の話しなら、お金の問題だけですけど。
(いや、それだって良いとは言えないですね。(^^;
 トラブルは元を絶たなければ直らない。
 私的には常識だと思うんですが。)
 自動車のハブは多くの人の人命に関る事だけに、こう言うのは勘弁して欲しいですよね。(^^;

投稿: craftsman | 2004/05/30 7:49:33

さすがにありがちとは言えない、特殊例だと思いますが、いわゆる「上を見て仕事している」というのの典型ですね。

元の設計でこんなところに段を付けたのは設計者もバカだと思いますが、設計変更する時にはさすがに分かっていた、だから記録として「ブレーキドラムが干渉する」という問題は浮かび上がってきたのでしょう。

当然社内の討議は「バブだけではダメで、ブレーキドラムも変更しなければなりません」という動議が出て、それに対して上級管理者(取締役か?)が「それで幾ら掛かって、改良がモノになるのにどのくらいの時間が掛かるのか?」と聞いたのではないかと思います。
管理者がこんなことを言ったとしたら、それ自体が管理者失格だと思いますが、仮にこんな質問があったとすると、その回答は。
「国土交通省(運輸省)に届けて承認が必要なので、かなり長期間かかるでしょう。金型も作る必要が・」などと、他人の判断に結果を押しつけるわけです。
こういうのを「上を見て仕事している」と言うのですが、トヨタがなんのかんの言われても世界に「改善」という言葉を流行らせてしまったくらい、誰でも提案ができる仕組みが確立しています。
メーカーはこれが出来ないと生きていけないのが世界的な大競争時代なのですが、一部の企業では上を向いて仕事をしているところがあります。

ブレーキドラムが干渉するというのなら、ブレーキドラムの方を削ってしまえば良いわけで、それすらやっていない。
さすがにトラックのブレーキの詳細について詳しくは無いですが、図面を見るとあまりに精緻に作りすぎている、余裕が無い精密すぎる設計という印象が強いです。
第一、他のメーカーのモノと比べて見れば一目で分かるでしょう。他社製品との比較を丁寧にやるといった泥臭い作業を嫌っていたのでは無いでしょうか?頭でっかちな会社ではありがちなことです。

確かに、応力集中するような設計に原因があるのですが、なんでそういう設計のまま製造を続けたのか?です。たぶん、国土交通省が要求しているのは、この点でないかと思います。これは、簡単に回答できるとは思えないし、幾ら要求しても出来ないものは出来ないでしょう。
しかし、それでは市場からお断り、となります。市場を見ていなかった会社の引き起こした事件ですね。

投稿: 酔うぞ | 2004/05/30 9:06:56

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